Qwen-Image 2.1の早期アクセス版で、効かなかった構図指定とオリキャラの描き分けを試した
目次

Qwenアンバサダー向けに、Qwen-Image 2.1の早期アクセスが届いた。
ModelScopeのStudio画面で利用可能になっており、最終版のモデルに差し替わった後の出力で手元検証を行った。
これまでの画像生成の検証では、Anima-3.8Bの記事で構図プリセット10種のうち半分近くが通らず、4人バンドの役割指定も崩れていた。
また、白黒アイコンをAnimaの絵柄で描き直した記事では、Qwen-Image-Editでオリキャラのかなちゃんの向きを変えようとして苦戦した経緯がある。
これらの課題設定をQwen-Image 2.1にそのまま与えたらどこまで通るのか、順に試してみた。
ModelScope Studioでの検証環境
提供形態はModelScopeのStudio(ブラウザで操作するGradio画面)のみで、API経由での画像生成モデルの呼び出しはまだ用意されていない。
画面内の要素を外部から自動操作するのも難しかったため、プロンプトを投入して生成ボタンを押す手動操作で検証を進めた。
所要時間は画面に表示されないため、この記事で触れる秒数は体感値になる。
画面の設定欄はこんな感じ。
| 欄 | 既定値 | 今回の設定 |
|---|---|---|
| Enhance prompt(プロンプトの自動補強) | 画面の説明では既定でオン | オフ(指示を守ったのがモデル自身か書き換えによるものか切り分けるため) |
| Seed | 0、Randomize seedがオン | Randomizeを外して数値を固定 |
| Negative prompt | 空欄 | 過去の比較用スクリプトから書き出したネガティブプロンプト |
| Customize output size | オフ(サイズは自動) | オンにして幅と高さを指定(256〜2688の範囲) |
入力画像は最大10枚まで指定でき、プロンプトの中ではアップロード順に「image 1」「image 2」として参照する。
画像を指定しなければ文字からの生成(T2I)、指定すれば画像からの編集(I2I)になる。
構図プリセット10種
Anima-3.8Bの記事と同じ英文プロンプトを使い、シード42、解像度832×1216で生成した。
Anima用の品質タグもそのまま残している。
判定は大枠で、指示した画角や切り取りになっているかだけで確認した。
比較元(AnimaのBase、2.9B、3.8B native、3.8B expanded)の判定は前回の記事から持ってきた。
| プリセット | Base | 2.9B | 3.8B native | 3.8B expanded | Qwen-Image 2.1 |
|---|---|---|---|---|---|
| 俯瞰(from above) | 取り違え | 取り違え | 惜しい | 惜しい | 通る |
| あおり(from below) | 通る | 通る | 通る | 通る | 通る |
| 真後ろ(from behind) | 通る | 失敗 | 失敗 | 通る | 通る |
| 真横(from side) | 通る | 破綻 | 惜しい | 失敗 | 通る |
| ダッチアングル | 弱い | 弱い | 弱い | 弱い | 弱い |
| 引き(wide shot) | 通る | 通る | 惜しい | 惜しい | 通る |
| 余白構図(negative space) | 惜しい | 通る | 通る | 惜しい | 惜しい |
| カウボーイショット | 失敗 | 失敗 | 惜しい | 惜しい | 惜しい |
| 顔をフレーム外 | 破綻 | 惜しい | 惜しい | 失敗 | 失敗 |
| 下半身のみ | 破綻 | 失敗 | 失敗 | 失敗 | 失敗 |










カメラの位置と向きを指定する5つ(俯瞰、あおり、真後ろ、真横、引き)は全部通った。
俯瞰は、立っている子を真上から見下ろして顔を上げさせる指示で、Animaの4条件では前屈や仰向けに取り違えていた。
5条件の中で立ち姿の俯瞰になったのは2.1だけだった。
真横は画面右を向いている。
プロンプトには「camera at the subject’s right side」と「left-facing silhouette」が両方入っていて、右側から見れば右向きになるので、そもそも指示が食い違っている。
比較元のBaseも右向きで「通る」判定だったため、左右の向きは不問にした。
ダッチアングルは屋外の路地を斜め上から見下ろす画になった。
カメラの傾き自体はわずかで、水平線や建物の垂直線が入らない見下ろしの構図だとダッチアングルとしての傾きははっきり出にくい。
余白構図は右半分こそ空いたものの、人物の幅が画像の約40%あって、「左1/3」「幅35%以内」の範囲には入らなかった。
カウボーイショットは頭頂部まで入った代わりに床に膝をついて座り、裾・膝・靴まで画面に入った。
3.8Bは上側(顔や頭頂)で外し、2.1は下側で外した。
顔をフレーム外と下半身のみは、Animaと同じく通らなかった。
どちらも顔まで入ってしまい、体の一部をフレーム外に出す指定は反映されなかった。
4人バンドの役割指定
前回の記事と同じ4人バンドの役割指定を、タグ列と自然文の両方で3シードずつ出した。
解像度は1344×768。
左はローズブラウンのロングでベース(くらら)、中央は金髪に青いリボンでボーカル兼白ギター(けい)、右は茶髪のサイドポニーで赤ギター(かな)、後列は黒髪ショートの赤い目でドラム(こはる)という、手元のオリキャラ4人の見た目を割り当てている。
自然文のプロンプトにあった3.8B用の区切り Description: は外して送った。
6枚とも人数は4人で、前列3人の立ち位置と担当楽器の割り当てはすべて指定どおりそろった。
| 書式 | seed | 後列のドラマー |
|---|---|---|
| タグ列 | 42 | いる(スティックを持つ) |
| タグ列 | 1234 | いる(手はギターに隠れる) |
| タグ列 | 9999 | いる(手はギターに隠れる) |
| 自然文 | 42 | いる(手はスネアのあたり) |
| 自然文 | 1234 | いる(手の一部が見える) |
| 自然文 | 9999 | いる(スティックを持つ) |






6枚とも、5人になることもドラマーが消えることもなかった。
前回の記事では、Baseと2.9Bは3シードとも前列に4人並ぶだけでドラマーがおらず、3.8B expandedは後列にドラマーを足して5人になっていた。
崩れたのは、左の子の髪色がシードによってローズブラウンや赤みのある茶色に揺れた程度。
ドラマーの手は前列のギターに隠れるものが多く、叩いているところまで見えるのは一部だった。
かなちゃんの立ち絵を使ったI2I
入力画像を使った編集(I2I)では、以前の記事で作った正面向きの絵(左)は口元に指を当てたポーズが付いており、出力のポーズがそちらに引きずられやすい。
ポーズ変更の基準として扱いやすいよう、両腕を体側に下ろした中立な立ち絵(右)を入力に選んだ。


かなちゃんの意匠は、茶髪のサイドポニーと青いシュシュ、アホゲ1本、茶色の目、白シャツに赤ネクタイ。
基準の立ち絵はスカートが紺色のため、衣装は入力画像を再現できているかで照合した。
通った構図のI2I検証
T2Iの構図プリセットで通った構図を、この立ち絵を入力画像に指定して出力した。
プロンプトは人物の容姿指定部分を the girl from image 1, keep her face, hairstyle and outfit exactly as in image 1 に差し替えている。
構図はすべて指定どおり通った。
| 構図 | 意匠の再現 |
|---|---|
| 俯瞰 | 入力と一致 |
| あおり | 入力と一致 |
| 真後ろ | 背面で見える範囲は一致(サイドポニーが画面左へ正しく移る) |
| 真横(本人の右側から) | サイドポニーが後頭部のポニーテールになる |
| 真横(本人の左側から) | サイドポニーが後頭部のポニーテールになる |
| 引き | 入力と一致(人物が小さく、目の色は判別しにくい) |






構図は6枚とも通った一方で、絵柄や直立姿勢は入力画像に強く影響される。
アニメ塗りの質感がそのまま残り、両腕も体側に下ろした姿勢が維持されやすい。
背景は、あおりや真後ろでは入力の白背景が維持され、俯瞰の床や引きの校門では描き込まれた。
引きの背景配置は同じシードのT2Iと酷似しており、背景の組み立てはシードの影響が大きいように見える。
時間は体感で18〜23秒で、T2Iの10〜15秒より長い。
真横の向きではサイドポニーの描写に偏りが見られた。
正面で画面右にある髪は、かなちゃん本人の左側で結んでいる。
画面右を向いた横顔は本人の右側から見ているため、サイドポニーは頭の奥に隠れるはずだが、結び目が後頭部の手前に描かれた。
サイドポニーのある左側から出し直した画像(画面左向き)でも、結び目は後頭部に描かれている。
頭部の比較はこんな感じ。
左から正面(入力)、真後ろ、真横(右側から)、真横(左側から)。
| 向き | 結び目の位置 | 見え方 |
|---|---|---|
| 正面(入力) | 頭の上の画面右寄り | サイドポニー |
| 真後ろ | 頭の上の画面左寄り | サイドポニーのまま |
| 真横(右側から) | 後頭部の上 | ポニーテール |
| 真横(左側から) | 後頭部の上 | ポニーテール |
真横の2枚は左右どちらから見ても同じ後頭部に結び目があり、サイドポニーを通常のポニーテールとして解釈して描いていた。
真後ろでは片側の結び目を保てているので、真横の角度でのみポニーテールに寄る。
とはいえ、Qwen-Image-Editでは真横を向かせること自体が困難だったため、向きの制御は大幅に向上している。
服とポーズの変更
立ち絵1枚から、服だけ、ポーズだけ、両方同時の順に変更を試した。
プロンプトの2行目で保つ特徴(顔、髪型、サイドポニーと青いシュシュ、アホゲ、目の色、変えない側の服かポーズ)を書き、3行目で変える要素を指定した。
服はパーカー、黒デニムのショートパンツ、白い靴下、白スニーカーとし、制服一式を置き換えた。
ポーズは静止を避けて空中ジャンプを指定した。
| 変えたもの | 指示 | 結果 |
|---|---|---|
| 服だけ | パーカー一式 | 指示どおり入れ替わる。靴下だけ少し長め。顔・髪・ポーズは入力のまま |
| ポーズだけ | 正面向きで空中ジャンプ。右膝を上げ、左脚は下へ伸ばし、右こぶしを真上、左腕を横へ | 左脚が後ろへ曲がった以外は指示どおり。左右の手足は取り違えない |
| 服とポーズを同時 | 上の2つを同じ文面でまとめる | 項目としては全部通る。直立に近い手足の動きになり、勢いは弱め |
| 服とポーズを同時 | 斜め(3/4)の向きで画面左へ全力で走る。右膝を高く上げ、左脚は後ろで蹴り出す | 斜め向きと走る動作は通る。脚は高く上げず標準的な走りのフォームになる |
| ポーズだけ | 上と同じ走り(服は制服のまま) | 斜め向きも脚の形もほぼ指示どおり |





どの出力でも、顔、髪型、サイドポニーと青いシュシュ、アホゲ、茶色の目は崩れなかった。
服だけ変えた画像は、頭部は入力のままで体だけが入れ替わっている。
服とポーズを同時に変えると、ジャンプでは勢いが、走りでは脚のポーズが甘くなった。
ポーズだけ変えた画像と並べるとその差がはっきり出ている。
斜めから走る2枚では、サイドポニーが後頭部寄りに描かれ、真横ほどではないがポニーテール気味になっていた。
プール掃除の背景と人物描画
Animaのけい・かな2人LoRAの記事では、寄りなら背景まで描けて、引くとホースの取り回しなど描き込みが甘くなった。
その中のプール掃除で水をかける場面を、かなちゃん1人にして出せば、背景が細かくなったときに人物の描画が薄くなるかが分かる。
場面は元の絵から書き起こした。
空のプールで青いホースを持って水をまき、背景には水色の床と壁のコースライン、水たまりの反射、バケツとデッキブラシ、金網、木、青空、日差しを並べた。
サイズは前回の絵に合わせて横長の1344×1008にした。
最初はポーズを書かずに出したら、ホースを持ったただの直立姿勢になった。
ポーズを指定しないと入力の立ち姿が残るのは、構図のときと同じ。
そこでポーズ(斜め向きで踏み込み、両手でホースを握って左上へ向け、口を開けて笑う)を足して、構図の引き具合を変えていった。
| 構図の指定 | 人物の高さ(画像の高さに対する割合) | ポーズ | 人物の描き込み |
|---|---|---|---|
| 頭から膝まで、ポーズ指定なし | 画面の下端ですねが切れる | 棒立ち | 崩れない |
| 頭から膝まで、ポーズ指定あり | 約95%(全身が入る) | 指示どおり | 崩れない |
| 全身を画像の高さの約1/3に | 約79% | 指示どおり | 崩れない |
| 構図プリセットの引きの書き方(10〜30%) | 約60% | ほぼ指示どおり、目を閉じて笑う | 崩れない |
| 遠くに小さく、ポーズは水をまくだけ | 約15% | 入力の立ち姿に近い | 服と髪は保つが顔が崩れる |





ポーズを細かく書くと、人物がなかなか小さくならない。
「全身を約1/3に」と書いても約79%で、人物が大きいままになった。
頭身は約5.3で入力と同じだが、画面全体に対する人物の占有率が指定より大きい。
構図プリセットの引きでは同じシードで約14%まで小さくなっていたため、ポーズ指定が長くなると構図の引き指定が反映されにくくなる傾向がある。
ポーズの指定を「水をまく」だけに減らして約15%まで小さくなったが、今度は入力の立ち姿に戻った。
人物を小さく配置することとポーズを細かく指定することは、このプロンプトの記述では同時に成立しなかった。
約15%の1枚でも、背景自体は崩れていない。
床のコースラインの遠近も水たまりの反射も描けていて、ホースもノズルから床へ自然につながっている。
人物を5倍に拡大すると、服、ネクタイ、靴、アホゲ、サイドポニーとシュシュは形を保っているが、目の形や色が左右で不揃いになった。
前回のAnimaでは引き構図で背景側が甘くなったのに対し、2.1では背景を維持した一方で人物の顔立ちが崩れた。
ただし顔の高さは25画素ほどしかなく、どのモデルでも目を描き分けにくい大きさだった。
複数人参照での描き分け
複数人の生成では、ポーズの破綻や属性の混ざりが起きやすい。
ここでは、けい、こはる、くららの立ち絵も参照に追加した。
4人とも制服で正面を向いた白背景の立ち絵で、左からくらら、けい、かな、こはる。
構図プリセットの4人バンドの見た目の割り当ては、この4人に対応している。
プロンプトでは、見分ける特徴を1人ずつ書き、それぞれの参照どおりの顔・髪型・目の色・服を保って特徴を混ぜないよう指示した。
入力画像欄には、ファイル選択でまとめて選ぶことで複数枚を投入した。
| 参照の枚数 | キャラ | 場面 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1枚 | くらら | ギャルっぽいポーズ(横ピース、ウインク、舌、腰に手) | くららとして出る。ポーズも指示どおり |
| 2枚 | かな、けい | プール掃除でけいがかなに水をかける | 2人とも出て混ざらない。動作も指示どおり。顔は入力から少し変わる |
| 2枚 | くらら、かな | 横に並べるだけ | 2人とも出て混ざらない。左右は指示と逆 |
| 3枚 | くらら、けい、かな | 横に並べるだけ | くららの頭が出ず、頭と服の組み合わせが1つずつずれる |
| 3枚 | けい、かな、こはる | 横に並べるだけ | かなのサイドポニーとシュシュとアホゲが、けいとこはるにも付く |
| 4枚 | 4人 | 4人バンド(seed 42) | けいが2人。くららが出ず、かなとこはるの位置がずれる |
| 4枚 | 4人 | 4人バンド(seed 1234) | かなが2人(右の子は頭がかなで服は別の子)。くららが出ない |
| 4枚 | 4人 | 横に並べるだけ | くららが出ず、誰とも違う子が1人出る |








2枚までは描き分けられて、3枚から崩れた。
2人の水かけは、けいが笑ってホースを向け、かながのけぞって手でかばう動きまで指示どおりで、ネクタイと蝶結びのリボン、無地とチェックのスカートも入れ替わらない。
顔は2人とも入力から少し離れ、けいは大人びた顔立ちになっている。
4人のバンドでは、役割(ベース、ボーカル兼白ギター、赤ギター、後列ドラム)と位置は2回とも出た。
崩れたのは誰がどの位置にいるかで、参照なしで出したときは役割がそろっていたため、参照画像を4枚入れたことでキャラと位置の割り当てが乱れている。
ステージが暗く、髪や目の色では見分けにくいため、判定はサイドポニーや三つ編み、首元のネクタイかリボンかで確認した。
くららは1枚だけなら本人として出せ、かなとの2人でも描き分けられる。
3枚以上になると頭部が描かれず、袖まくりや赤ネクタイといった衣装の特徴だけが別の子に移った。
くららを抜いた3枚(けい、かな、こはる)でも、かなのサイドポニーやアホゲが他の2人にも混ざったため、3枚以上の参照を入れた時点で属性の混同が起きる。
かなは2枚以上のすべての出力で画面の左端に出ていた。
かなの参照だけが圧縮前の高解像度PNGで特徴も目立つため、モデルの参照優先度に差が出た可能性がある。