Animaの4人LoRAでポーズと人物どうしの関係をどこまで指定できるか
目次
2026-08-14 追記: 続編で4人へ別々の楽器と役割を割り当てる4人バンドを検証し、大きいQwenの作文とエンコーダ交換まで試した → Animaの4人LoRAで4人バンドを描けるか、Qwen3-14Bの作文とエンコーダ交換で確かめた
前回の4人LoRAのプロンプトを削った実験では、白背景へ4人を横一列に置くP3まで書けば、くらら、けい、かな、こはるを3シードとも描き分けられた。ただ、それは横一列の立ち絵までで、誰かが何かをしている場面はまだ試していない。
今回は、画風と4人を1本のLoRAで固定したまま、表情、ポーズ、触れる動作、前後関係までプロンプトで割り当てられるかを確かめることにした。できるなら、人物を別々に生成してQwen-Image-EditやControlNetへ読み込ませる工程を減らしたい。
最初は判定が緩く、4人が出て背景が教室なら成功、手を上げていれば指定ポーズ、という数え方をしていた。それだと、手が壊れた絵も、別人が動いた絵も、全員の顔がくらら風になった絵も成功に入ってしまう。使えない絵を成功に数えるのをやめて、前回できていたP3から一文ずつ変え直した。
4人がいれば成功、にはしない
合格の判定は6項目に分けた。
| 項目 | 合格条件 |
|---|---|
| 人数・描き分け | ちょうど4人で、くらら、けい、かな、こはるが1人ずついる |
| 動作の割り当て | 指定した人物だけが動き、別人へポーズが伝播しない |
| 身体・接触 | 手足が壊れず、床や家具との触れ方が破綻していない |
| 空間 | 前景・後景、縮尺、遮蔽、ランドマークが一続きの場面になる |
| 見て分かるか | キャプションを見なくても誰が何をしているか分かる |
| そのまま使えるか | 細部の描き直しなしで完成イラストとして使える |
合格は、6項目すべてを満たした場合だけとした。
生成条件
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| model | anima-base-v1.0.safetensors |
| text encoder | qwen_3_06b_base.safetensors |
| 4人LoRA | anima-4char-v1_epoch100.safetensors |
| LoRA strength | model 1.0 / clip 1.0 |
| Turbo | なし |
| sampler | er_sde / simple |
| steps / cfg | 25 / 4.0 |
| 解像度 | 1344×768 |
| seed | 42、1234、9999 |
原則として、画像を見てから同じ条件内のプロンプトを直さず、次の実験へ進む時だけ、変える箇所を1つに決めて条件表を先に作った。
表情の指定だけで別人の顔になる
ポーズを増やした場面で、全員の顔がなんとなくくらら風になっていた。完全な同一人物ではないが、かなの茶髪とアホ毛だけ残して、顔立ちがくらら風になる画像があった。
動作や人数は変えず、かなの表情を指定する一文だけを差し替えた。
half-lidded eyes, lowered eyebrows and a clearly exasperated expression
これを次へ変えた。
one cheek puffed out and an exasperated pout
前者は目と眉の造形を直接指定する表現で、この条件ではくららの化粧顔と似た顔形になった。後者は頬と口だけを変える表現で、かなの顔が残った。途中でa small comic sweat dropも足してみたが、隣の人物にも汗マークが出たので外した。
3シードで1組を比べただけなので、原因がこの表現だけとは言い切れない。ただ、目、眉、化粧まで指定するとどうも4人LoRA内の別キャラを呼んでしまうようで、頬、口、視線の向きに留めた方が顔は崩れなかった。
プロンプト内のこはるとかなの順番だけで描き分けが変わった
次に、机に触れる動作を外した同じ教室の場面で、プロンプト内のこはるの説明とかなの説明の順番だけを入れ替えた。単語、トークン数、生成設定は変えていない。
| 条件 | プロンプト内の人物の順番 | 4人の描き分け |
|---|---|---|
| v40 | くらら → けい → こはる → かな | 1/3 |
| v41 | くらら → けい → かな → こはる | 3/3 |
内容が同じでも、どの人物の説明が先に並ぶかで出力が変わった。
順番の差を生んだのはQwenとT5のどちらか
Animaのconditioningは、Qwenの文脈付き隠れ状態とT5のトークン列の両方をLLMAdapterへ入れて作る。経路の図はQwenとT5のconditioningを調べた実験に載せている。そこでv40とv41を同じシードへ入れ、片方の条件のQwen出力と、もう片方の条件のT5出力を組み合わせて生成した。これを以下では交差と呼ぶ。両方をv40にした条件は2シードとも描き分けに失敗し、両方をv41にした条件は2シードとも、4人が描き分けられて誰がどの役割かも判定できた。片側だけを替えた場合は、シードによって直ったり直らなかったりした。
| seed | Qwen v41 / T5 v40 | Qwen v40 / T5 v41 |
|---|---|---|
| 9999 | 描き分け失敗 | 4人の描き分け、配置は不正確 |
| 1234 | 4人の描き分け | 描き分け失敗 |
seed9999ではT5だけをv41へ替えると4人が戻り、seed1234ではQwenだけをv41へ替えると戻った。両方をv41へ揃えた時だけ、2シードとも4人が描き分けられ、誰がどの役割かも判定できる状態に戻った。
Qwenの隠れ状態のshapeはどちらも[1, 330, 1024]、T5はどちらも385トークンだった。隠れ状態を平坦化したコサイン類似度は0.9118だった。
片側だけを替えた画像も、シードで逆の結果になった。
今回の範囲では、QwenとT5の片側だけを直してもシードによって崩れ、両方へ同じ順番を通した時だけ2シードとも揃った。
かなだけにポーズを付けたら3シードとも出た
複雑な場面をいったん捨て、前回のP3へかなのポーズを指定する一文だけを追加した。他の文字列は変えていない。
She balances on her left foot, bends her right knee backward,
and stretches both arms straight out sideways like an airplane.
3シードすべてで、かなだけが左脚立ちになり、右膝を曲げ、両腕を横へ伸ばした。くらら、けい、こはるは立ったままで、人数の減少もポーズの伝播もなく、顔がくらら風になることもなかった。
これは白背景でポーズが通るかを確かめただけなので、完成した場面の判定には数えない。ただし、4人LoRAが1人だけの全身ポーズを描けることは分かった。
床や机に触れる姿勢で成功率が下がった
人物の順番はv41のまま、教室で1人だけ姿勢を変えた。
両条件とも4人の描き分けは3/3のままだった。
| 条件 | 指定した姿勢 | 他に残った問題 |
|---|---|---|
| くららが片膝立ち | 明確1/3、曖昧1/3、失敗1/3 | 膝が床に着いているか、会話相手の視線 |
| けいが机の端へ座る | 3/3 | 相互の視線は明確1/3、衣装の割り当ても不安定 |
机へ座るという指定を大雑把には守ったが、front edge、両脚が自由に垂れる、相手を見る、まで同時には揃わなかった。片膝立ちも、膝が床に着いているかどうかが曖昧になった。6枚とも完璧とは言い難い。
P3の片脚バランスと違うのは、姿勢の複雑さのほかに、床や机に身体が触れることと、その人物を別人との会話にも参加させることだった。この複雑な条件が2つ重なると成功率が下がった。
名前で指定してもハイタッチは中央の2人で起きた
次は、どの2人がタッチしたかを明確に判定できるハイタッチで調べた。P3の左2人、くららとけいへ次を追加した。
kurara's right open palm and keichan's left open palm touch
above the space between them in one clear high-five.
4人の描き分けは3/3でできていた。しかし実際には2番目のけいと3番目のかながハイタッチしていて、指定した組ではなかった。さらに、空いた手で4人がつながる手つなぎまで発生した。
Theirを人物名へ書き換えても3/3で同じ中央のペアになった。
ハイタッチの指定を人物の説明より前に置くと、seed9999だけはくららとけいがタッチしたが3人に減り、他の2シードは中央が金髪2人になった。
タッチする相手は、人物名だけで決まっていない。画面中央で隣り合う2人、左右対称に腕を上げやすい2つの枠という、DiT側の強い構図の傾向が名前より優先されているように思える。
タッチさせたい2人を中央に置いたら3シードとも指定どおりになった
そこでプロンプト内の人物の順番をかな、くらら、けい、こはるへ変え、タッチさせたいくららとけいを2番目と3番目へ置いた。
まずハイタッチなしの対照条件を出し、4人がこの順番で描画されることを確認した。
同じ順番のままハイタッチを戻すと、3シードすべてで中央のくららとけいがタッチした。
ただし6項目すべてを満たした画像は0/3だった。seed42は4人が手をつなぎ、seed1234と9999では関係ないキャラも手を上げた。指定したペアは一致したが、ハイタッチという動作が画面全体へ伝播した。
この結果を踏まえて、次はタッチさせたい2人を中央の隣り合う枠へ置いてみて、それでも動作が広がるようなら、前景と後景の人数と、関係ないキャラの腕まで書いて止めることにした。
前景と後景に誰がいるかまで書いたら4人に戻った
中央にペアを置いたまま場面を実際の教室に変えた最初のv49では、seed1234にくららが1人増えて5人になった。seed9999では後景のかなまで手を上げた。
そこで動作の内容は変えず、前景に3人、後景に1人という人数と名前、それに関係ないキャラの腕を明示した。
Exactly three girls occupy the foreground: kurara, keichan and koharu.
kurara and keichan stand together in the foreground center,
while koharu stands apart on the far right.
Exactly one girl occupies the background: kanachan.
Both of kanachan's arms hang straight down at her sides;
she does not wave, reach or touch anyone.
No other people or duplicate identities are present.
この変更後は3シードとも、ちょうど4人でくらら、けい、かな、こはるが1人ずつになり、前景中央のくららとけいがハイタッチした。後景のかなは両腕を下ろしてハイタッチに加わらず、右のこはるは腕を組んでいた。
それでも合格は0/3にした。ドアの中に立たせる指定は、seed9999でだけかながドアの枠内に収まった。ただそのドアは、開けた先が廊下ではなく壁のままの妙な構造で、ランドマークとして成立していない。教室そのものも、机の向きがばらばらで窓が両側の壁に並ぶなど、背景として成り立っていない。こはるの顔も結構崩れていて、seed42ではかな風のアホ毛まで混じった。人物の役割は3シードとも指定どおりだったが、背景と顔の細部が崩れたままだった。
4人へ通ったプロンプトの構造
長文を足すだけの条件はどれも安定しなくて、情報量より構造で差が出た。
4人の外見の目印は短いまま固定して、実験の途中で髪や目やアクセサリを増やしたり減らしたりしない。表情を変えたい時も目や眉には触れず、頬と口と視線だけでいじる。人物の説明の順番は一度決めたら動かさず、QwenとT5へ同じ順番で通す。タッチさせたい2人は画面中央の隣り合う枠に置いて、前景と後景には人数だけでなく誰がいるかの名前まで書く。関係ないキャラもrelaxedで済ませず、腕を下ろす、触らない、手を振らない、まで書いておく。
この書き方ではタッチさせるペアを中央へ置くので、ペアの立ち位置は自由に選べない。ドアのような細かいランドマークはシード依存のままで、窓の位置や机の向きのような教室の背景もちゃんと出力できていない。
単体LoRAを2個重ねると先に色と形が混ざる
かなとケイの単体LoRAを2個重ねた実験では、並びなら髪型の構造を描き分けられても、ケイの金髪が茶に寄り、接触ポーズでは衣装と人物が混ざった。これがきっかけで、2人、3人、4人を1本のLoRAへまとめて学習するようになった。
今回の書き方のうち、人数と位置の書き方だけなら、単体LoRAを2個重ねる構成でも試せる。ただ、4人LoRAは学習の段階から4人を別トリガーで分けて覚えているのに対して、単体LoRAの2個がけは、別々に学習した重みが画面全体へ同時にかかる。だから、プロンプトをどう書くより前の段階で、ケイの金髪が茶に寄るような混ざり方をする。