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SeaArt LoRA学習ガイド

概要

ローカルでLoRA学習環境を構築しようとしたが、「クラウドでもいいんじゃない?」という話があった。

調べたらSeaArt(たまたま課金してた)で学習データを投げてLoRA作れることが判明。環境構築不要でsafetensorsをダウンロードすればローカル生成できる。

メリット

  • 環境構築不要(クラウドで学習)
  • GPU不要で学習可能
  • safetensorsでダウンロード → ローカルで使える
  • FLUX/SDXL/Pony/Illustriousなど多彩なベースモデル対応

料金(2025年12月時点)

プランスタミナ/日備考
Free0LoRA公開必須
Beginner SVIP300非公開LoRA可、3日無料トライアルあり
Standard SVIP700-
Professional SVIP2,100-
  • トレーニングは全プランで利用可能(スタミナ消費)
  • 無料プランはLoRAを公開しないと使用できない
  • 非公開でLoRAを使いたいなら有料プラン必須

事前準備

学習データ

  • 画像: 200枚(カラー/モノクロ各100枚)
  • サイズ: 512x512(ツールで自動クリップ&リサイズ)
  • バリエーション: 顔アップ、バストアップ、全身
  • キャプション: 自動生成後に手修正済み

ファイル構成

dataset/
├── image001.png  (512x512)
├── image001.txt  (キャプション)
├── image002.png
├── image002.txt
└── ...

SeaArt LoRA学習手順

1. アカウント作成 & ログイン

https://www.seaart.ai/ja

SNSアカウントで簡単にログイン可能。

2. トレーニングページへ移動

「創作 → トレーニング → データセット作成」

3. ベースモデルを選択

ローカル生成時のGPU(今回はRTX 4060 8GB)で動くモデルに合わせて選ぶ。VRAM 8GBならSDXL系が動作する。

モデルベース特徴4060対応
Illustrious-XLSDXLイラスト特化
AuthakuMixPonyアニメ特化
NoobAI-XLSDXL汎用
FLUXFLUX最新・高品質× 厳しい

注意: SDXL系LoRAはSDXL系モデルでのみ使用可能。

4. データセットアップロード

「キャプション付き画像がある場合はデータセットアップロードを使用」

  • 画像とtxtファイルをセットでアップロード
  • ファイル名を揃えておけば自動で紐づく
  • タグ付けアルゴリズムはスキップ(既にキャプションあるため)

5. キャプション確認

アップロード後に確認するポイント:

✓ トリガーワード(造語)が先頭にある
✓ 英語タグ、カンマ区切り
✓ キャラ固有の特徴(髪色、目色など)は削除済み
✓ 構図タグが正しく入っている

構図タグの例

クリップタグ
顔アップportrait, close up, face
バストアップupper body
全身full body

6. 学習パラメータ設定

200枚の場合の推奨設定

項目推奨値
リピート数5(枚数多いので下げる)
エポック数10
バッチサイズ2
学習率0.0001(1e-4)
ネットワークサイズ(Dim)64〜128
ネットワークAlphaDimの半分(32〜64)
スケジューラーcosine_with_restarts
オプティマイザーAdamW または DAdaptation

ステップ数の目安

100枚: リピート10 × エポック10 = 10,000ステップ
200枚: リピート5 × エポック10 = 10,000ステップ

7. プレビュープロンプト設定

学習後のサンプル画像生成用:

my_chara, 1girl, upper body, smile, simple background

8. トレーニング開始

「データセット名を入力 → 今すぐトレーニング」

  • 順番待ちあり(混雑時は2〜4時間)
  • ブラウザ閉じても学習は進む
  • 有料プランなら優先権で待ち時間短縮

9. 学習完了 → ダウンロード

「トレーニング履歴 → タスク完了を確認」

  • エポックごとにサンプル画像が表示される
  • 出来がいいエポックを選択
  • 「ダウンロード」→ ローカルにsafetensors保存
  • 「セーブ」→ SeaArt上に保存(非公開設定可能)

カラー/モノクロ LoRAを分ける

両方作成する場合

LoRAトリガーワード用途
カラー版my_chara_color表紙、カラーページ
モノクロ版my_chara_mono漫画本編

トリガーワードを分けておくと使い分けしやすい。

モノクロ生成時のプロンプト

プロンプト:
my_chara_mono, 1girl, upper body, smile, monochrome, greyscale, manga, lineart

ネガティブ:
color, colorful

最初からモノクロで生成するのが一番綺麗。カラー→グレスケ変換は劣化する。

ローカルでの使用

ダウンロードしたsafetensorsの配置

ComfyUI:
ComfyUI/models/loras/my_chara.safetensors

A1111:
stable-diffusion-webui/models/Lora/my_chara.safetensors

RTX 4060 8GB での生成

  • SDXL系モデル → 動く
  • LoRA + ControlNet同時使用 → VRAM厳しめだが動く
  • ComfyUIのほうがVRAM効率いい

ControlNetで構図指定

ワークフロー

1. Clip Studioで3Dデッサン人形ポーズ作成
2. PNG出力(512x512、白背景)
3. ControlNet(Depth推奨)に入力
4. LoRA適用して生成

ControlNetの種類

種類クリスタ3Dとの相性用途
Depth立体感そのまま維持
OpenPoseポーズだけ抽出
Canny輪郭線が邪魔になることも

3DからならDepthが一番安定。

セキュリティ / 公開設定

プランによる違い

プランLoRA公開備考
無料必須公開しないとSeaArt上で使用不可
有料任意非公開のまま保存・使用可能

安全に使うには

  • 有料プランで非公開設定 → SeaArt上で自分だけ使える
  • safetensorsでダウンロード → 完全にローカル保存、他人に使われない
  • モデルマーケットに投稿しない

無料プランでもsafetensorsをダウンロードしてローカルで使えば、他人に使われることはない。

詳細設定

学習率 & オプティマイザー

オプティマイザー特徴Learning Rate
AdamW標準、安定0.0001
AdamW8bit軽量版0.0001
DAdaptation自動調整1
DAdaptAdam自動調整1
Prodigy自動調整1(自動設定)

ネットワーク設定

項目説明推奨値
Dim高いほど細かい特徴を反映64〜128
Alpha低いとLoRAが強く適用Dimの半分

スケジューラー

種類特徴
cosine_with_restarts安定、複数画風向け(推奨)
cosine滑らかな減少
constant_with_warmup初期安定化

トラブルシューティング

特徴が出ない

  • 学習ステップ数を増やす(エポック数UP)
  • Dimを上げる(64→128)
  • トリガーワードがプロンプトに入ってるか確認

特徴が強すぎる / 崩れる

  • リピート数を下げる
  • バッチサイズを上げる
  • エポック数を下げる

特定のポーズに固定される

  • 学習データのバリエーションが足りない
  • 構図タグ(upper body等)が正しく入ってるか確認

まとめ

推奨フロー

  1. SeaArt有料プラン1ヶ月に加入
  2. カラーLoRAを学習 → safetensorsダウンロード
  3. モノクロLoRAを学習 → safetensorsダウンロード
  4. RTX 4060 + ComfyUIでローカル生成
  5. ControlNet(Depth) + クリスタ3Dで構図指定
  6. 漫画コマ量産

ポイント

  • ベースモデルはSDXL系(Pony/Illustrious)
  • 200枚ならリピート5 × エポック10
  • トリガーワードはカラー/モノクロで分ける
  • 生成は最初からモノクロで出す(後変換は劣化する)
  • LoRAは非公開設定で他人に使われない

後編では、実際に学習データを投げてLoRAを作成し、出力結果を見ながら調整していく流れを書く予定。