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Qwenのクマにしか見えないカピバラ、いつからいるのか調べた

いけさん目次

Hugging FaceでQwenのモデルカードを開くと、たまに白いTシャツを着た、クマにしか見えないずんぐりした動物が出てくる。
ブログのバナーにもいる。
変なキャラだなと思って調べたら、Qwen公式のマスコットのカピバラだった。
ならHugging Faceのでかいヒーロー画像にいるのも同じやつだろうと、Qwen-Image-Editのモデルカードを開いたら、真ん中に同じカピバラが16通り並んでいた。

じゃあこいついつからいるのか。
X投稿、公式ブログ、Hugging Faceのモデルカード、GitHubのコミットを日付順に調べて年表にした。

調べた範囲

対象やったこと
X@Alibaba_Qwen の投稿を埋め込み用API(cdn.syndication.twimg.com)とThread Readerで取得し、投稿日時と添付画像を確認
公式ブログ旧サイト qwenlm.github.io/blog に残る記事31本のHTMLから画像URLを抜き出し、バナー画像を全部開いた
Hugging Face組織 Qwen のリポジトリ(2026年8月27日時点で464件)をAPIで列挙し、README冒頭の画像URLを集めて重複を除いた38枚を開いた
GitHubブログのリポジトリ QwenLM/qwenlm.github.io のコミット日時で記事の公開日を裏取り

画像は全部curlで落として1枚ずつ確かめた。
新しいブログ(qwen.ai)はJavaScriptで描画していて画像URLが取れなかったので、2025年9月以降の公開分はHugging Faceのモデルカード側で調べた。
Codexにも別セッションで同じ調査をさせて、結果を突き合わせた。
Codexの報告では画像を取得できておらず、2025年1月のQwen2.5-VLと3月のQwen2.5-Omniを「カピバラなし」と判定していた。
代わりに、こちらが拾えていなかった2024年11月のQwen2.5-Coder発表文の一節と、2026年のQwen Code Desktopのペット機能を見つけてきた。

2024年10月11日、Xで9連投

公式アカウント @Alibaba_Qwen が日本時間2024年10月11日19時50分に投稿したのが、確認できた範囲で一番古い。

「マスコットを紹介する。のんびりしたカピバラだ。穏やかさと適応力で知られるカピバラは、Qwenが技術の世界の課題をいつでも気楽に解決する手助けをすることの象徴」という趣旨。

添付画像は左半分が紫地にQwenのロゴ、右半分にカピバラが6コマで、マグを持って一服、カメラを構える、ヘッドホンで音楽、麺をすする、布団で寝る、そして「coder」のハチマキを巻いてモニターに向かう。
どのコマも白いTシャツにQwenのロゴ、目は線、耳は小さく、絵柄は今と同じだった。

この投稿は9連投のスレッドで、2投目以降は短い一文と1枚絵が8組続いた。

投稿文
Qwen is pre-training積み上げた本の横で、Qwenロゴ入りの本を読む
Qwen is post-trainingティーカップで一服
Qwen Math黒板に 1+1=2、2+2=4 と書いて指し棒を持つ
Qwen Coder「coder」のハチマキでモニターに向かう
Qwen VLカメラを構える
Qwen Audio水色のヘッドホンで音符に囲まれる
Qwen aspires to explore the universe星空で光るQwenロゴを抱える
Qwen is cultivating 🥝キウイの木にじょうろで水をやる

発表から9時間後の日本時間10月12日4時49分には、この絵柄を学習したFLUXのLoRA cfahlgren1/flux-qwen-capybara がHugging Faceに作られている(リポジトリの作成日時をAPIで確認)。
トリガー語は QWENCAPY

これより前の公式ブログは、2024年2月のQwen1.5から同年9月19日のQwen2.5まで、バナーがロゴやパラメータ表、ベンチマーク図ばかりで、カピバラはいなかった。
Qwen2.5発表のX投稿(日本時間2024年9月19日1時57分)の添付画像も、青い「Q」の中にモデル名を並べた図だった。

Xでの発表からブログに載るまで

発表のあとも、2024年11月12日のQwen2.5-Coderシリーズ、11月15日のQwen2.5-Turbo、11月28日のQwQ-32B-Preview、12月25日のQVQ-72B-Previewのブログ画像にカピバラは出てこなかった。
どれもレーダーチャートと棒グラフだけで、Xでの発表から3か月半は絵が載らなかった。

Qwen2.5-Coder-32Bを発表した日本時間11月12日3時24分のXスレッドには “Today, the Qwen capybara codes together with Ollama!”(今日はQwenのカピバラがOllamaと一緒にコードを書く、の意)の一文がある。
添付画像はレーダーチャートだった。

2025年1月26日付のQwen2.5-VLの記事で初めてブログに載った。
バナー画像のファイル名からして Qwen2.5-vl-Capybara.png
中国風の赤い上着を着ていて、足元の小さなヘビは2025年の干支。
記事の日付は1月26日だが、ブログのリポジトリにこの記事を追加したコミットは日本時間1月28日4時(4ffb13c)。

Qwen2.5-VLブログのバナー。中国風の赤い上着で提灯を持ったカピバラ、足元に赤い封筒を持った小さなヘビ

画像はQwenブログのQwen2.5-VL記事から引用した。

2日後の1月28日、Qwen2.5-Maxの記事のバナーにも出た(記事のdatePublishedは中国時間28日23時で、日本時間では29日0時)。
帽子は財神という中国の福の神のもの、下の金色の塊は昔の中国のお金。

Qwen2.5-Maxブログのバナー。財神の帽子で金色の塊に座り赤い封筒を投げるカピバラ

画像はQwenブログのQwen2.5-Max記事から引用した。

どちらも春節向けの飾りとしてバナーに使われていて、モデルの説明図には出てこなかった。

2025年3月から説明図の中に入る

Qwen2.5-Omni(2025年3月27日)の機能説明図では、動画・テキスト・画像・音声の4つの場面でカピバラがスマホを持って質問している。

Qwen3(4月29日)はバナーに戻った。

Qwen3ブログのバナー。「Qwen」と「3」の間から顔を出してOKサインをするカピバラ

画像はQwenブログのQwen3記事から引用した。

Qwen-VLo(6月26日)のバナーは黄色い自転車に乗って風船を引いている。

一方で同じ2025年でも、7月のQwen3-235B-A22B-Instruct-2507系とQwen3-Coderのモデルカードにはいなかった。
Qwen3-Coderの冒頭画像はターミナル風のベンチマーク表、2507系は棒グラフだけ。

2025年8月、Qwen-Image-Editの素材になる

Qwen-Image-Edit(2025年8月19日公開)のモデルカードは、冒頭画像のIP(キャラクターなどの知的財産)編集デモにこのカピバラを使っている。
公開前の8月13日(日本時間14日0時44分)にも、公式アカウントが「Qwen Capybaraのステッカーが作り放題」という予告を投稿している。
READMEの本文に “let’s take Qwen’s mascot—Capybara—as an example” とあり(Qwenのマスコット、カピバラを例に取ろう、の意)、今回調べた範囲では、モデルカードやブログの本文で「マスコットはカピバラ」と明記した最初の箇所。
同じ節に、Qwen Chatで16タイプのMBTI絵文字パックを作ったとも書いてある。

Qwen-Image-EditのIP編集デモ。入力画像のカピバラを、画家・料理人・ギター・タキシード・バスケ・農作業・宇宙服・ダンスの8通りに編集している

画像はHugging FaceのQwen/Qwen-Image-Editモデルカードから引用した。

このスライドには編集プロンプトが8本載っているのだが、全部 “the bear” で書いてある。
“This bear is wearing a tuxedo, a magician’s hat, and holding a magic wand”、“Add a straw hat on the bear’s head”。
カピバラはネズミ目、クマはネコ目。

2025年9月以降は耳が大きくなったり帽子をかぶったり

Qwen3-ASR(X投稿は日本時間2025年9月9日0時20分)は “Big-Eared Capybara!” の一言つきで、耳を大きく描いた版。

Qwen3-Omni(2025年9月)の説明図、2026年1月のQwen3-TTSQwen3-ASRのモデルカードの説明図にも、卒業帽、DJのヘッドホン、工事用ヘルメットをかぶったカピバラが大量に出てくる。
Qwen3-VL(2025年9月)のアーキテクチャ図では、入力例の1枚がゴーグルをかけた写真風のカピバラになっている。
2026年4月27日のQwen-Scope(Qwen3系の内部の特徴を少数の成分に分けて取り出すスパースオートエンコーダー)のモデルカードの概要図にも、ホログラムのカピバラと並んで4か所に描かれている。

逆に2026年2月のQwen3.5と4月のQwen3.6のモデルカード冒頭は文字だけのロゴ。
8月24日のQwen3.8-Flash-Nextのモデルカードはアーキテクチャ図だけで、Hugging Faceの組織アイコンも青い幾何学ロゴのまま。

コーディングエージェントのQwen Codeには、デスクトップ版でこのカピバラが画面上をうろつくペット機能が入った。
デスクトップ版のパッケージを追加したPR #3778(2026年6月11日マージ)に assets/pets/qwen-spritesheet.webpQwenPet.tsx が含まれていて、Issue #4807(6月5日)はこの機能を “the floating capybara” と呼んでいる。
デスクトップ版そのものは8月6日の週次更新で正式公開になった。
PRに入っていたスプライトシート(コマを1枚に並べた画像、1536×1872)を開くと、顔だけの表情差分が57コマ並んでいた。
瞬き、目を閉じた笑顔、×印の目、口を丸く開けた顔。体もTシャツもない。

中国語圏では、2026年5月19日の騰訊新聞がアリババクラウドサミットの予告ポスターについて「从海报中出现的 Qwen 官方吉祥物水豚(卡皮巴拉)来看」(ポスターに出ているQwen公式マスコットの水豚から察するに)と書いている。

年表

日付(日本時間)場所カピバラ
2024年9月19日Qwen2.5ブログXなし。モデル一覧表と性能図
2024年10月11日 19時50分X @Alibaba_Qwen発表。9連投で紹介画像1枚と役割別の絵8枚
2024年10月12日 4時49分Hugging Face cfahlgren1/flux-qwen-capybara有志のFLUX LoRA
2024年11月12日 3時24分X Qwen2.5-Coder発表本文に “the Qwen capybara” の一文。画像はチャート
2024年11月12日〜12月25日Qwen2.5-Coder、Qwen2.5-Turbo、QwQ-32B-Preview、QVQ-72B-Previewの各ブログなし。チャートのみ
2025年1月26日付(コミットは28日)Qwen2.5-VLブログバナー。中国風の赤い上着と提灯
2025年1月29日 0時Qwen2.5-Maxブログバナー。財神の帽子と金色の塊
2025年3月27日Qwen2.5-Omniブログ説明図に4か所
2025年4月29日Qwen3ブログバナー。OKサイン
2025年6月26日Qwen-VLoブログバナー。自転車と風船
2025年7月Qwen3-2507系、Qwen3-Coderのモデルカードなし。棒グラフとターミナル画像
2025年8月14日 0時44分X Qwen-Image-Edit予告ステッカー作例
2025年8月19日Qwen-Image-EditモデルカードIP編集デモ8通りとMBTI16種。本文で「マスコット」と明記
2025年9月9日 0時20分X Qwen3-ASR耳の大きい版
2025年9月Qwen3-OmniQwen3-VLのモデルカード説明図に多数。VLは写真風
2026年1月Qwen3-TTSQwen3-ASRのモデルカード説明図に多数
2026年2月、4月Qwen3.5Qwen3.6のモデルカードなし。ロゴのみ
2026年4月27日Qwen-Scopeモデルカード概要図に4か所
2026年5月19日アリババクラウドサミットの予告ポスター(騰訊新聞あり
2026年6月11日Qwen Code Desktop PR #3778デスクトップのペット機能。顔だけの表情差分57コマ
2026年8月24日Qwen3.8-Flash-Nextモデルカードなし。構成図のみ

マスコットの呼び名

公式の投稿もモデルカードも “our mascot, a relaxed capybara”、“Qwen’s mascot—Capybara” と呼ぶだけで、今回確認した公式投稿とモデルカードでは固有名は出てこなかった。
中国語では卡皮巴拉か水豚。

2026年3月、AnthropicのコードネームにもCapybara

2026年3月26日、AnthropicのCMS設定ミスで未発表モデルの下書きが外から読める状態になっていたとFortuneが報じた。
そのモデルの内部コードネームが「Capybara」で、鳳凰網は3月28日に「千问痛失吉祥物?」(千問、マスコットを失う?)の見出しで記事にしている。
同記事は、3月4日に退任を表明したばかり(Simon Willisonの記事)の元技術責任者 林俊旸(Junyang Lin)が “capybara? seriously?” とコメントしたと書いている。