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MOSS-Imageの派生モデルとワークフローの2026年11月時点一覧

いけさん目次

前回、10月にMOSS-ImageのBaseとSFTをM1 Maxで試したときは、公式の2本しか配布物がなかった。
それから約2週間半で、ファインチューン、マージ、高速化LoRA、画像編集LoRA、ComfyUIのワークフローがCivitaiとHugging Faceに大量に出ている。
ここでいうチェックポイントは単体で動くモデル本体、LoRAは画風や高速化を追加する軽量ファイル、ワークフローはComfyUIの生成手順ファイルを指す。
Anima派生の一覧と同じように、今どういうものが配布されているのかを調べた。
この記事ではモデルのダウンロードや出力検証は行わず、表内の作者説明は配布ページの記述をまとめた。

調べた範囲

Civitaiのデータは2026年11月2日に、CivitaiのAPIで baseModels=MOSS Image、nsfw=true、sort=Most Downloaded、period=AllTime を指定し、種類ごとに最後のページまで取得した。
取得元は civitai.red で、日付はCivitaiの公開日(UTC)。

種類件数
LORA1,602
Checkpoint82
Workflows68
Other(プロンプト用スキル、自作ノードなど)18
LoCon16
DoRA2
VAE2
合計1,790

ControlNet、TextualInversion、Upscaler は0件だった。
指定した種類だけを数えているため、Civitai上の関連ファイルのすべてではない。作者がベースモデルを MOSS Image に設定していないものも集計に含まれない。
1つのモデルページに複数の版(バージョン)が含まれるため、MOSS Image に設定された版は2,037個あり、そのうち2,032個が10月17日から11月1日の16日間に公開されている。1日あたり約127個。
ダウンロード数は、APIが版ごとに返す stats.downloadCount のうち MOSS Image の版だけを足した。
モデルページ全体の数字は他のベースモデルの版も含むため、集計から除外している。
たとえばMiaoMiao RealSkinはページ全体で66,037ダウンロードだが、MOSS Image向けに公開された版(版名「MOSS 1.0」)は43だった。Prime Lustも同じで、ページ全体の7,381に対してMOSSの版は1,923。公開から日が浅いため、ダウンロード数は公開時期の違いも反映している。

公式の更新

重みは10月16日の公開から変わっていない。
Hugging FaceのBaseとSFTのコミット履歴を確認すると、初回以降はリンク追加や引用情報といったドキュメントの更新だけだった。
公式リポジトリのコミット履歴から、本体以外の主な変更をまとめると次のとおり。

日付内容
10月16日ComfyUI本体にMOSS-Image対応がマージ。SGLang、vLLM-Omniも初日から対応と公式が案内
10月18日コミュニティの学習ツールKohakuMossTrainerを公式READMEで案内
10月19日技術レポートをarXivで公開。レイアウトの題字枠を文字に合わせる修正
10月20日DiffSynth-StudioのファインチューンとLoRA学習への対応を案内。MOSI API Platformでの提供を開始
10月27日Apple Silicon向けの実験的なMPS対応をマージ

MPS対応は以前M1 Maxで検証した際にパイプラインを修正して float64 の停止を回避した問題に関連する。現在は公式のmacOS手順が用意されており、実機検証としてM1 Max 32GBのSFTが記載されている。他のチップやより少ないメモリ、Baseについては未確認とされている。

公式のREADMEに掲載されているのはBaseとSFTの2本で、画像編集版はない。
thearkorbitのカードによると、公式コードの説明文には参照画像向けの派生に触れた箇所があるものの、その版自体は未公開とされている。現在出ている画像編集LoRAはすべてコミュニティ製だ。

ComfyUIでの対応

ComfyUIではカスタムノードなしで動く。
最初に対応が入ったリリースはv0.42.0(10月18日)で、v0.41.0は未対応だった。
カラー・深度コントロール、画像編集LoRA、MOSS専用マージノードはさらに後のv0.43.0(10月27日)に含まれ、v0.42.1ではまだ使えない。

機能プルリクエストマージ日(UTC)
本体対応#1709510月16日
カラー・深度コントロール#1720610月19日
画像編集LoRA#1729610月22日
MOSS専用のマージノード#1734910月25日

重みはComfy-Org/MOSS-Imageにまとまっている。
BaseとSFTのBF16版とINT8 ConvRot版、テキストエンコーダーのBF16・INT8・w4a8 版、VAEに加えて、コミュニティ製のカラー・深度コントロールと画像編集LoRAも同じ場所に置かれている。
容量を抑えるINT8量子化版も用意されており、CivitaiのAPIが返すファイルサイズでは、BF16の約9.47GiBに対してINT8は約5.04GiBと、ほぼ半分のサイズになる。

公式の案内では標準対応が推奨で、リポジトリ同梱プラグインはHugging Face形式のディレクトリから直接読み込むときの選択肢となった。
両者はローダーノードやタイムステップ倍率の扱いが異なるため、古いワークフローのローダーだけを差し替えてもそのままでは動かないと書かれている。

チェックポイント

82本のうち、MOSS Image の版のダウンロード数で上位のモデルは次のとおり。

モデルMOSSの版のDL数最新の版の公開日作者の説明
MOSS Image(Civitai公式のミラー)21,32510月16日SFTが17,429、Baseが3,896。生成はSFT、ファインチューンとLoRA学習はBaseという公式の推奨を掲載
PornMaster Moss12,74611月1日LoRAをマージしたNSFW向け。人物LoRAはBase版のほうが反映されやすいとする
Moody Moss Mix9,82110月29日V3で土台のLoRAを作り直した。版名の設定は25ステップ、CFG 3
Realism By Stable Yogi Moss9,66610月31日実写向け(フォトリアル)。Q4 GGUFからINT8まで5形式を配布。10ステップ、CFG 1、er_sde、Beta
Dirty-Moss5,84510月22日日常の写真らしさを狙った実験作。スライダーLoRAなどをマージ
MiaoMiao Harem MOSS5,28210月28日二次元の画風をMOSS-Image-Baseへ移した。文字とレイアウトを生かす用途を掲げる
Jib Mix Moss Realistic4,31110月28日実写向け。8ステップLoRAをマージ済みで、V2は12ステップを推奨
Moss Image INT8/INT6/INT42,91710月17日公式の重みの量子化版。INT8は約5.4GB、INT6は約4.1GB
Kromoss2,77110月19日Baseのフルファインチューンで、Base特有のぼやけ解消を主目的とする

ファインチューンとマージ

この上位の多くは、LoRAをマージしたモデルだ。
新しい学習データで全体を学習し直したフルファインチューンと明記されているものは少なく、確認できたのは次の4本だった。

モデルMOSSの版のDL数作者の説明
Kromoss2,771と1,723(Civitaiの2ページ)Baseから1024pxで学習。11,000ステップ更新、学習画像約70.4万枚。8ステップ生成用の蒸留LoRA(DMD/DMD2)も付属
MOSS Cat Tower1,752元のアニメ画風を調整。50ステップ、CFG 3で、層22・24・26をスキップする Skip Layer Guidance を推奨
Moss Image FinalCut1,715長いキャプションと短いWD14タグの両方で学習。12〜25ステップ、sgm_uniform、er_sde
MossAD Demo374Danbooru、Gelbooru、E621から57作家、3,685枚で学習した試作。本番前に作家の画風、タグ、レイアウトの学習具合を試す目的

MOSS-Image 2.5D Anime(2,321)は画風LoRAを統合した実験、CottonMoss(776)は複数のLoRAをマージしたものだ。
CottonMossは、8ステップLoRAを弱めに混ぜているため12ステップでの利用が推奨されている。指示文の反映が弱くなる場合があり、版権キャラクターを安定して出すのはかなり難しいとも記されている。

Anima派生の一覧で取り上げた作者たちも、MOSS向けのモデルを公開している。
Anima Cat Towerのnuko_masshiguraがMOSS Cat Tower、CottonAnimaのuraotoがCottonMoss、MiaoMiao HaremとRealSkinのMIAOKAがMiaoMiao Harem MOSSを出した。

高速化LoRAの派生関係

公式の推奨設定は50ステップ、CFG 3。CFGによる指示文の反映のため1ステップあたり2回計算され、1枚あたり画像生成本体(DiT)を計100回計算することになる。
前回の検証でM1 Maxが1枚約20分を要したのもこの計算回数が要因で、少ないステップ数で同等の結果を出せるよう追加学習した蒸留LoRAが、公開当日の10月16日から登場している。

各LoRAのモデルカードに記載された派生関係は次のとおり。

flowchart TD
  A["MOSS-Image-SFT<br/>50ステップ、CFG 3"] --> B["lodestones 8ステップ<br/>data-space DMD"]
  B --> C["darask0 4ステップ<br/>DMAD"]
  C --> D["akhaliq 2ステップ<br/>IDM"]
LoRAステップ作者の説明
lodestones/MOSS-Image-SFT-8-steps-dmd8CFGなし。作業途中の版と明記。lora.safetensors は強度1、lora_latest は強度0.7を推奨。Base向けは別リポジトリ
darask0/MOSS-Image_4-step_adapter_lora4H100での1024角1枚のDiT時間は50ステップの16.2秒に対して0.81秒。テキストエンコーダーとVAEは含まない。悪化した点も記載
akhaliq/MOSS-Image-SFT-4-steps4Civitaiの転載ページでは、標準の Euler サンプラーで動くv2として掲載
akhaliq/MOSS-Image-IDM-2-Steps2テキストからの生成はv1の export 750 を推奨。編集向けのv2は生成の質が落ちたと作者が記載
Coffmeteor/MOSS-Image-Turbo16CFG 1のベータ版。肌のテカリは多少改善したが、複数人物の手足と体の構造は改善していないと記載

CivitaiではLoRA全体の1位が、これらをまとめて転載したMoss Image Turbo LoRas(18,592)だった。
ステップを減らすほかに、p1atdev/MOSS-Image-SFT-KV-Cache-LoRAのようにテキスト側の計算を使い回す方法も出ている。RTX 6000 Adaでの作者の計測では、2,941トークンのレイアウト指定が8.03秒から5.26秒に短くなり、53トークンの短い指定では3.98秒から4.39秒へ遅くなった。

軽量化と不具合の修正

配布物対象作者の説明
unsloth/MOSS-Image-SFT-GGUFGGUF形式の量子化stable-diffusion.cppでCPU、Mac、GPUで動く。推奨は UD-Q4_K_XL の3.42GB。Qwen3.5-9Bのテキストエンコーダーは別にいる
KBlueLeaf/MOSS-Image-FP16-fixedfp16での桁あふれ内部の値を1/16にして重みに織り込み、fp16で16倍の余裕を確保。公式BF16よりfp32に近いと記載
MATLOWAI/MOSS-Image-SFT-DeBandSFTの縦縞空や壁に出る薄い縦縞を減らすLoRA。SFTの一部の層をBaseの重みへ戻す差分
nynxz/MOSS-ImageSFTの縦縞1.9MBのSFT縦縞除去(Destripe)LoRA。DeBandのカードで、画像を最も変えない修正として案内されている
comfyanonymous/MOSS_image_MAX_ULTRA_hires_lora_test400万画素(4MP)以上の生成Baseを高解像度で出すためのLoHa(LoRA派生形式)。リポジトリ名のとおりテスト
PotatoForge/moss-image-4b-encoder-adapterテキストエンコーダーのメモリQwen3.5-4Bの出力を9B相当へ変換する約21MBの層。9Bと同等の品質が出るわけではないと明記
mlx-community/MOSS-Image-SFT-bf16Apple SiliconのMLXSFTのMLX変換。同種の変換は他にも複数ある

公式READMEのコミュニティの項目には、DiffSynth-Studio、DeBand、lodestonesの8ステップ、FP16-fixed、ComfyUI-Spectrum-MOSSなどが載っている。

テキストエンコーダーの拒否を取り除いたHeretic版も出ている。
作者の説明によると、プロンプト拡張に標準のQwen3.5-9Bを使うと成人向けの生成指示に対して拒否文を返すことがあり、その拒否文がそのまま画像生成プロンプトとして渡されて意図しない画像になってしまう問題に対処したという。

画像編集と参照画像

前回の検証でも触れたように、公式パイプラインはテキストからの生成のみで、画像入力には対応していない。
一方、thearkorbitのカードによると、MOSS-Imageが持つ4つの位置座標枠のうち1つが通常は未使用となっており、そこへ参照画像を差し込むことで、追加学習なしでも参照元の画像内容をモデルに認識させられるという。
ただしこれだけでは参照画像をほぼそのまま写すだけで指示文に従わないため、指示に従って編集させる部分をLoRAで追加学習している。この仕組みはostrisのai-toolkitが先行して実装していたと記されている。

配布物用途作者の説明
chinoll/Moss-Image-Edit指示文で編集色、服、照明、季節、画風の変更。BaseとSFTのどちらでも使え、参照画像は4枚まで。Comfy-Orgにランク64版が置かれている
akhaliq/MOSS-Image-Edit-HQ指示文で編集chinoll版を超える品質を狙った試み。推奨は armV5 で、armV6 は改善しなかったと書かれている
7err4/MOSS-Image-CharRefキャラの参照1枚の参照画像からキャラを別の場面に描く。Base向けでアニメ限定。50ステップ、CFG 3
pleiades7/MOSS-Image-CharRef-PoCキャラの参照上のCharRefの元になった試作。顔の形や髪型はよく外れると書かれている。Civitaiにもある
Anime2Realアニメ絵を実写調へai-toolkitで学習した編集LoRA。対応ワークフローあり。作者は「Krea2にはまだ勝てない」と書いている
darask0/MOSS-Image-color-depth-control配置と形の指定色分け図と深度図に沿って生成する。3Dマネキンから人物を配置する用途。ComfyUIが標準対応
Kaloscope-style-adapter画風の指定作家名の特徴の合成や、参照画像を画風の条件に使う。Krea2とMOSS-Image-Base向け
paralaif/MOSS-Image-Alpha-LoRA透過PNG別のRGBA VAEと組み合わせて透明度付きで出す試作。39枚で学習

CharRefとPoCはostrisのカスタムノードを使用する。
Anime2Realの作者は、ComfyUI側のMOSS実装変更に合わせて修正版ノードを使うよう案内している。このノードを使う場合は、ComfyUIのバージョンとの組み合わせ確認が必要だ。

ワークフロー

68本を MOSS Image の版のダウンロード数順に見ると、上位は最小構成と高速化の組み合わせが中心だ。

ワークフローMOSSの版のDL数内容
Moody Moss Minimal5,561標準25ステップと高速版の2種類
PornMaster Moss SFT t2i4,634PornMaster向けのテキストからの生成
Text to Image, 4-Step Turbo + SeedVR2 2x4,0684ステップとSeedVR2の2倍拡大
Simple Workflow (T2I BBOX, I2I)3,786枠で人物の配置を指定、深度付きの画像入力生成(i2i)、2段目の仕上げ
MOSS Image inpainting workflow1,851部分描き直し
MOSS Image workflows1,615ADetailer(顔・手補正)、拡大、部分描き直し、プロンプト拡張、編集、深度
Anime2Real Workflow1,555アニメ絵から実写調への変換
MOSS 4-step workflow1,4244ステップ
MOSS Pro Grade1,273編集、コントロール、部分描き直し、重み付きプロンプトを版ごとに追加
T2I + LF Block Cache1,251LF Block Cacheを組み込んだテキストからの生成
Artfat MOSS BBox Studio1,204枠指定、編集、LLMによるプロンプト作成

ページ全体の数字で見ると複数モデルのワークフロー集(38,863)やSD1.5の頃から続く部分描き直し(23,696)が上位に来るが、MOSS版に限ると前者のワークフロー集は18、後者の部分描き直しは605にとどまる。

JSONレイアウト周りはMOSS特有で、キャンバス上で枠を指定してレイアウトを書き出すBBOX Prompterや、Ideogram4向けに始まってMOSSにも対応したAI Prompt Canvasが出ている。
用途が特徴的なものは次のとおり。

ワークフロー用途作者の説明
Regional character LoRAs2キャラのLoRAの分離枠で変えられるのはプロンプトだけなので、1回目で全体を生成し、2回目に枠の中だけ各キャラのLoRAで描き直す
MOSS Doujin Kit漫画の生成1回の実行で漫画1冊を作る実験版。単体アプリのFumikaもある
MOSS LoRA TrainerLoRA学習ComfyUIの1ノードで学習する実験版
Mac向けSeedhuntMacでの生成M5 Pro 48GBとM1 MacBook Air 16GBで確認。25ステップ、CFG 2.5、er_sde、simple が適しているとする
8GB VRAMの2.5D Anime少ないVRAM8GBのノートPC向けGPUで1024×1536が約62秒。追加のカスタムノードなし

プロンプト用には、公式のPrompt Enhancerのほかに、Moody Moss Prompt Writing Skillのようなモデル専用のLLM向け指示文も配布されている。

LoRA

LoRA、LoCon、DoRAの合計は1,620件で、MOSS Image の版のダウンロード数の合計は453,821だった。
上位50件のうち23件はCivitaiのNSFW(成人向け)フラグ付きだ。
上位には実写画風(フォトリアル)や、人体・スライダー系の補正LoRAが多く並ぶ。実写画風ではLenovo UltraReal(8,213)、NiceGirls UltraReal(6,663)、Phone Photography(5,033)がある。
アニメ寄りではAnireal(2,442)、Anime Flat Style(2,075)、Hentai Style(1,463)などが上位に入っている。
既存シリーズにMOSS版を追加したものも多く、版名に Moss と付いて他のベースモデルと同じページに並んでいる。

参考リンク