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GitHub Copilot coding agentの大幅更新とFigma-Codex MCP統合

2026年2月25〜26日にかけて、GitHubとOpenAI/Figmaがそれぞれコーディングエージェント関連のアップデートを発表した。GitHub Copilot coding agentに5機能が追加され、FigmaとOpenAI CodexがMCPで統合。さらにCopilot CLIがGA(一般提供)になった。1週間前にはAnthropicがClaude CodeのFigma統合を発表しており、コーディングエージェントがデザインツールやCI/CDに深く組み込まれていく流れが加速している。

GitHub Copilot coding agentの5機能

モデルセレクター

タスクの複雑さに応じてAIモデルを切り替えられるようになった。coding agent画面のpicker UIから選択する。

picker上の選択肢:

  • Auto(デフォルト)
  • Claude Sonnet 4.5 / Opus 4.5 / Opus 4.6
  • GPT-5.1-Codex-Max / GPT-5.2-Codex

バックエンドではこれ以外にもGemini 3系、Grok Code Fast 1、Claude Haiku 4.5等が対応している。モデルごとにpremium request乗数が設定されており、GPT-4.1/GPT-4o/GPT-5 miniは消費ゼロ、Claude Haiku 4.5やGemini 3 Flashは0.33倍、Claude Opus系は3倍。Claude Opus 4.6のfast modeに至っては30倍。

Autoモードのロジックは現時点では「可用性に基づくモデル自動選択」で、タスクの種類に応じた切替ではない。将来的にタスク要件も考慮する予定とのこと。管理者ポリシーで制限されたモデルや1x超の乗数を持つモデルはAutoの選択対象から除外される。

premium requestの枠: Free 50回/月、Pro(10/月)300回、Pro+10/月)300回、Pro+(39/月)1,500回。超過分は$0.04/回。

セルフレビュー

coding agentがPRを開く前に、自分が書いたコードをCopilot code review(PRレビュー用と同じもの)にかける。フィードバックを受け取り、修正を繰り返してからPRを作成する。

code reviewの内部的な仕組み:

  • LLM検出 + ツール呼び出し: プロジェクト全体のコンテキスト(コード、ディレクトリ構造、参照)を収集
  • ESLint、CodeQLなどの決定論的な静的解析ツールと併用
  • バグ、パフォーマンス問題、過度に複雑なロジックを検出

GitHubのブログでは、文字列連結が過度に複雑だったケースを自分で検出して簡潔な実装に修正してからPRを提出した例が紹介されている。copilot-instructions.mdでレビュー基準とトーンをカスタマイズ可能。

セキュリティスキャン(coding agent使用時は無料)

coding agentがPRを開く前に以下3つのスキャンが自動実行される:

  • CodeQL Analysis: 潜在的なセキュリティ脆弱性の検出
  • Dependency Checking: 新規導入された依存関係をGitHub Advisory Databaseと照合
  • Secret Scanning: APIキー、トークン等の機密情報を検出

これらはGitHub Advanced Securityの有料機能だ。通常はCode Security 30//アクティブコミッター、SecretProtection30/月/アクティブコミッター、Secret Protection 19/月/アクティブコミッター。coding agentを使ったPRに対しては無料で提供され、Advanced Securityのライセンスも追加設定も不要。

問題が見つかった場合、coding agentが自動で修正を試みてからPRサマリーにスキャン結果と対応内容を記載する。AI生成コードに自動でセキュリティ審査を通す設計で、「AIが書いたコードは検証しにくい」という懸念に対するGitHubの答えになっている。

カスタムエージェント

.github/agents/ディレクトリに.agent.md拡張子のファイルを配置することで、チーム固有のエージェントを定義できる。ファイル形式はMarkdown + YAML frontmatter:

---
name: test-specialist
description: "Focuses on test coverage and best practices"
target: vscode  # or github-copilot, or both
tools: ["read", "edit", "search"]  # ["*"] for all
user-invocable: true
mcp-servers:
  custom-mcp:
    type: 'local'
    command: 'some-command'
    env:
      API_KEY: ${{ secrets.COPILOT_MCP_API_KEY }}
---

You are a testing specialist focused on improving code quality...

CI設定ファイルと同じ感覚で、git管理・レビュー・バージョン管理がそのまま効く。使えるツールはエイリアスが用意されていて、execute(shell/Bash)、read(ファイル読取)、edit(ファイル編集)、search(Grep/Glob)、agent(他エージェント呼出)、web(WebSearch/WebFetch)を指定できる。

ビルトインMCPサーバーとしてgithub/*(読取専用のGitHubツール)とplaywright/*(localhost限定のブラウザ自動化)が用意されている。

配置場所には優先順位があり、Enterprise .githubリポジトリ < Organization .githubリポジトリ < リポジトリの.github/agents/ < Copilot CLIの~/.copilot/agentsの順。Markdown本文は最大30,000文字。

CLI連携とCopilot CLI GA

2025年9月のパブリックプレビューから、2026年2月25日にCopilot CLIが一般提供になった。これはGitHub CLIのgh copilotとは別のスタンドアロンCLIツール。

&キーによるクラウド委任の仕組み: プロンプトの先頭に&をつけると、そのタスクをクラウドのCopilot coding agentに委任する。ターミナルは即座に解放され、別の作業が可能。/resumeでローカルとリモートのセッションをシームレスに切り替えられる。ブランチ情報、ログ、会話コンテキストは完全に引き継がれる。

ビルトインの専門エージェント:

  • Explore: コードベースの高速分析
  • Task: ビルドとテストの実行
  • Code Review: 変更のレビュー
  • Plan: 実装計画策定

その他の機能:

  • Plan Mode(Shift+Tab)で実装前に分析・計画を構造化
  • Autopilot Modeで承認なしのツール実行
  • /diffでシンタックスハイライト付き変更レビュー
  • Esc-Escで以前のファイルスナップショットに巻き戻し
  • Auto-compactionでコンテキストウィンドウの95%到達時に自動履歴圧縮
  • Repository memoryでセッション間のコードベース慣習を記憶

CLIで選べるモデルはClaude Opus 4.6、Claude Sonnet 4.6、GPT-5.3-Codex、Gemini 3 Pro、軽量タスク向けにClaude Haiku 4.5。

FigmaとOpenAI CodexのMCP統合

何ができるようになったか

Figma公式MCPサーバーを通じて、CodexがFigmaのDesign、Make、FigJamファイルに直接アクセスできるようになった。2026年2月26日発表。

MCPサーバーが公開する主要ツール:

ツール機能
get_design_context選択レイヤーのスタイル・レイアウト情報取得(デフォルトReact + Tailwind)
get_variable_defs変数・スタイル(色、スペーシング、タイポグラフィ)取得
get_screenshot選択要素のスクリーンショット取得
get_code_connect_mapFigmaノードIDとコードベースコンポーネントのマッピング取得
generate_figma_designライブUIからFigmaフレームを生成(リモートMCPのみ)
get_figjamFigJamダイアグラムをXML+スクリーンショットに変換
generate_diagramMermaid構文からFigJamダイアグラムを生成

フレームワークはReact + Tailwindがデフォルトで、Vue、HTML+CSS、iOS、Code Connect経由のカスタムコンポーネントにも対応。レート制限はStarterプランが月6回、Dev/Fullシートは分単位制限。

Claude Code Figma統合との比較

Codexの発表の1週間前、2月17日にAnthropicがClaude CodeのFigma統合を発表していた。「Code to Canvas」と呼ばれる機能で、Claude Codeで構築した動作するUIをブラウザからキャプチャし、Figmaの編集可能なフレームに変換する。スクリーンショットではなく、テキスト・ボタン・auto-layout構造が編集可能なFigmaコンポーネントとしてインポートされる。

項目Claude Code + FigmaCodex + Figma
発表日2月17日2月26日
generate_figma_design対応対応(CLIでは未露出の報告あり)
デスクトップMCPローカル接続リモートMCP対応
双方向フローFigma → Code, Code → Figma同様に双方向

現時点の制約

Figma MCPサーバーはフレーム・レイヤー・色・位置などのビジュアルデータを公開するが、「それが何であるか」は伝えない。既存のデザインシステムのprop構造、バリアントオプション、状態定義は直接読めず、コーディングエージェントが推測する必要がある。Code Connectで実際のコードベースコンポーネントとマッピングすればこの問題は軽減されるが、Organization/Enterpriseプラン限定。

デスクトップMCPはFigma Desktop App必須(ブラウザ版不可、WSL非対応)。generate_figma_designがCodex CLIのツールカタログに表示されないというissueが報告されており、Claude Code側でも同様の問題がある。

ビジネスロジック・イベントハンドラ・状態管理はFigmaレイヤーに持ち込めないため、コードに戻す際に手動再翻訳が必要になる。UXPinの分析記事では “Making translation faster is not the same as eliminating it”(翻訳を速くすることと排除することは別)と指摘しており、グリーンフィールドのプロジェクトには有効だが、既存のデザインシステムを持つチームには摩擦が残るという評価だった。

競合とのマルチエージェント比較

項目GitHub Copilot Coding AgentGoogle AntigravityCursor
モデル選択OpenAI/Anthropic/Google/xAI 4社20+モデルGemini 3系/Claude Sonnet・Opus/GPT-OSS複数モデル対応
マルチエージェントカスタムエージェント(.agent.md)で定義、並列実行は限定的Manager Viewで複数エージェントの並列オーケストレーションサブエージェントの非同期並列実行、サブエージェントが更にサブエージェントを生成可能
クラウド実行あり(&でクラウド委任、/resumeで引き継ぎ)なし(ローカルIDE)Cloud Agents(VM上で独立実行、PR生成、スクリーンショット付きレビュー)
自律性セルフレビュー + セキュリティスキャン後にPR作成エージェントファースト。マルチファイル操作、コマンド実行を自律的に実行Long-Running Agentsで計画→実行を人間の介入なしで完了
セキュリティスキャンCodeQL/Secret Scanning/Dependency内蔵・無料なしなし
価格1039/+超過10-39/月 + 超過0.04/回無料(パブリックプレビュー)$20/月(Pro)
成熟度GA。エンタープライズ対応済みパブリックプレビュー。エンタープライズ認証なしGA。サブエージェントは2026年2月追加

Copilotの強みはGitHub統合とセキュリティスキャンの無料提供。Antigravityはマルチエージェントのオーケストレーションが最も進んでいるが、エンタープライズ向けの認証や価格体系がまだない。Cursorはサブエージェントの非同期実行とCloud Agentsで追い上げている。