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NemoClawとStripe MPPで考えるOpenClawエージェントの課金セキュリティ

サンドボックスでエージェントを隔離したとする。ファイルシステムは制限した。ネットワークもホワイトリストで絞った。じゃあそのエージェントが外部のAPIサービスを使って課金する場面はどうするのか。

NVIDIAが公開したOpenClawサンドボックスプラグイン「NemoClaw」と、Stripeが発表したAIエージェント向け決済標準「Machine Payments Protocol(MPP)」を並べて見ると、この問いに対する答えの輪郭が見えてくる。

OpenClawエコシステムの攻撃史

NemoClawの技術に入る前に、なぜサンドボックスが必要なのかを振り返る。このブログでもOpenClawのセキュリティ問題は繰り返し取り上げてきた。

  • SKILL.md経由のAMOS配布: ClawHubの悪性スキルがAIを「信頼された仲介者」として利用し、ユーザーにmacOS情報窃取マルウェアをインストールさせる。150種類の暗号資産ウォレットや19種類のブラウザからクレデンシャルを収集する
  • Clinejection: GitHubイシュータイトルへのプロンプトインジェクション→AIトリアージbot→npmトークン窃取→4000台にOpenClaw自動インストール。AIエージェントが攻撃ベクターになった最初のサプライチェーン攻撃
  • Karpathyの「40万行のvibe codedモンスター」発言: OpenClawが2日で10万スターを達成した直後に、RCE脆弱性・サプライチェーン汚染・悪性スキルの報告が続出。Karpathyは秘密鍵を渡す気にならないと明言した
  • メモリへの注入攻撃: MINJA・InjecMEM・ToxicSkillsキャンペーン(一連の攻撃活動)によるSOUL.md/MEMORY.mdの汚染。スキルをアンインストールしても影響が残る「Ship of Theseus」パターンも確認されている
  • ローカルサンドボックスの先行事例: Agent Safehouse(macOS sandbox-exec)やCodex(Windowsサンドボックス)。AmazonのKiroが本番DBを削除した事故、ReplitのAIが顧客DBを消した事故を受けて登場した
flowchart TD
    A["ClawHub / SkillsMP / skills.sh<br/>スキルマーケットプレイス"] -->|悪性SKILL.md| B["OpenClawエージェント"]
    B -->|"AIが信頼された仲介者として<br/>偽インストール指示を提示"| C["AMOS感染<br/>(macOS情報窃取マルウェア)"]
    D["GitHubイシュータイトル"] -->|プロンプトインジェクション| E["AIトリアージbot"]
    E -->|"キャッシュ汚染→<br/>npmトークン窃取"| F["cline@2.3.0 公開<br/>postinstallでOpenClaw<br/>グローバルインストール"]
    G["CVE-2026-25253"] -->|"悪意あるgatewayUrl"| H["認証トークン窃取<br/>RCE"]
    I["悪性スキル"] -->|"SOUL.md/MEMORY.md書き換え"| J["メモリポイズニング<br/>永続的な汚染"]

    style C fill:#991b1b,color:#fff
    style F fill:#991b1b,color:#fff
    style H fill:#991b1b,color:#fff
    style J fill:#991b1b,color:#fff

数字で見ると深刻さがわかる。

攻撃・調査手法規模
ClawHavocClawHubに341件の悪性スキル。91%がプロンプトインジェクション型2月16日更新時点で824件に倍増
AMOS配布SKILL.md経由でAIに偽CLIインストールを指示させるTrend Microが39件特定、Bitdefenderはエコシステム全体の約20%が悪性と推計
Clinejectionイシュータイトル→AIトリアージbot→キャッシュ汚染→npmトークン窃取4000台にOpenClaw自動インストール
CVE-2026-25253gatewayUrlパラメータ経由のRCE(CVSS 8.8)52か国30,000以上の公開インスタンス
ToxicSkillsSnykが3,984スキルを監査、36.82%にセキュリティ問題76件を悪性と断定
MINJA/InjecMEMエージェントへの通常クエリだけでメモリバンクを汚染アンインストール後も汚染が残存

Karpathyが警戒したとおり、40万行のコードベースを個人がセキュリティ監査するのは現実的でなく、ZeroClaw(Rust、3.4MB)、PicoClaw(Go、$10のボードで動く)、NullClaw(Zig、678KB)などの軽量代替実装が同時多発的に登場した。IronClawのように全ツールをWasmサンドボックス内で実行するセキュリティ特化の実装も出ている。だがコードベースを小さくしてもスキルエコシステムのサプライチェーン問題は解決しない。NemoClawはこの問題にランタイムレベルで対処しようとする。

NemoClawのアーキテクチャ

NemoClawはOpenClawエージェントをNVIDIA OpenShellサンドボックス内で安全に実行するためのプラグインだ。GitHub(NVIDIA/NemoClaw)でApache 2.0ライセンスで公開されており、公開からわずか4日で約1万スターを集めた。

graph TD
    A[OpenClaw<br/>自律エージェント本体] --> B[OpenShell<br/>セキュアランタイム]
    C[NemoClaw<br/>NVIDIAプラグイン] --> B
    B --> D[K3s inside Docker<br/>Kubernetesクラスター]
    D --> E[Sandbox環境]
    E --> F[NVIDIA cloud<br/>推論エンドポイント]
コンポーネント役割
OpenClawopenclaw.aiが提供する常時稼働型の自律エージェント本体
OpenShell(NVIDIA/OpenShell)エージェント実行のためのセキュアランタイム。K3sをDockerコンテナ内に内包
NemoClawOpenClaw専用のOpenShellプラグイン。NVIDIA推論との統合を担う接着剤
ClawHubOpenClawのスキルマーケットプレイス

OpenShellはClaude Code・Codex・Ollama等にも対応しており、NemoClawはその中でOpenClawとNVIDIA推論に特化した実装だ。

macOS sandbox-execやWindowsサンドボックスによるローカル隔離実行とのアプローチの違いは、NemoClawがK3sクラスターを前提としたサーバーサイドの保護であるのに対し、Agent Safehouse等はデスクトップ上のエージェントを保護する点にある。開発者がローカルで使う場合と、OpenClawを常時稼働のサービスとして運用する場合とでは、必要なセキュリティモデルが異なる。

Blueprintアーキテクチャ

NemoClawは内部的に2層に分かれる。

言語役割
PluginTypeScriptnemoclaw CLIおよび openclaw nemoclaw サブコマンドを提供するUI/CLI層
BlueprintPythonバージョン管理されたアーティファクト。サンドボックス作成・ポリシー適用・推論設定を実際にオーケストレーションする層

この分離によって、TypeScriptプラグインを更新しなくてもBlueprint側のみ独立してリリースできる。BlueprintはOpenShell CLIコマンドを通して5段階のライフサイクルを経る。

graph LR
    A[Resolve<br/>バージョン互換チェック] --> B[Verify<br/>ダイジェスト検証]
    B --> C[Plan<br/>リソース計画]
    C --> D[Apply<br/>リソース構築]
    D --> E[Status<br/>状態レポート]

Verify段階がセキュリティ上の重要なポイントで、アーティファクトのダイジェストを検証してサプライチェーンの改ざんを防ぐ。ClawHubから悪性スキルが大量に配布されている現状を考えると、インストールするもの自体の完全性を検証するこのステップは不可欠だ。

4層セキュリティ

NemoClawが適用する保護は4つのレイヤーで構成される。

レイヤー保護内容ロック方式
Network未認可のアウトバウンド接続をブロックランタイムにホットリロード可能
Filesystem/sandbox/tmp 以外への書き込みを禁止サンドボックス作成時にロック
Process権限昇格・危険なシステムコールをブロックサンドボックス作成時にロック
InferenceモデルAPI呼び出しを制御済みバックエンドへリルーティングランタイムにホットリロード可能

実装には Landlock LSMseccompネットワーク名前空間(netns)を組み合わせた多重防御を使用している。FilesystemとProcessレイヤーはサンドボックス作成時に固定されるのに対し、NetworkとInferenceはサンドボックスを再起動せずにポリシーを更新できる。

バイナリ単位のネットワーク制御

ネットワーク制御の粒度が単なるIPアドレスやホスト名のフィルタリングではなく、どのバイナリが・どのエンドポイントに・どのHTTPメソッドでアクセスできるかをバイナリ単位で制御できる点が特徴だ。

ベースラインポリシーで許可される主なエンドポイントは以下のとおり。

エンドポイント制限
api.anthropic.com:443claude バイナリからのみ
integrate.api.nvidia.com:443推論用
github.com:443 / api.github.com:443gh/git バイナリ、HTTPメソッド制御あり
openclaw.ai:443 / clawhub.com:443制限なし
registry.npmjs.org:443GET のみ

ベースラインに含まれないホストへのアクセスをエージェントが試みた場合、TUI(openshell term)でオペレーターに通知が届く。オペレーターはリアルタイムで承認/拒否を選択できるが、承認はセッション中のみ有効で、ベースラインポリシーへの永続保存はしない設計になっている。

ここでひとつ疑問が出る。clawhub.com:443 が「制限なし」で許可されているが、ClawHub自体が悪性スキルの配布元になっている現状で、これは大丈夫なのか。ファイルシステム保護があるから悪性スキルがシステムファイルを書き換えることはできないが、プロンプトインジェクション型の攻撃(ClawHavocの91%がこのタイプ)はファイルシステム制限では防げない。悪性SKILL.mdがエージェントのコンテキストに注入されれば、サンドボックス内の正規の操作として悪意あるコマンドが実行されうる。Instruction Hierarchy等のモデルレベル防御が別途必要になる。

推論ルーティングとコスト制御

推論リクエストはサンドボックスから直接外部に出ない。OpenShellがインターセプトして設定済みのNVIDIAクラウドエンドポイントへ転送する。

sequenceDiagram
    participant A as エージェント(sandbox内)
    participant G as OpenShell Gateway
    participant N as NVIDIA cloud<br/>(build.nvidia.com)

    A->>G: 推論リクエスト
    G->>N: 制御済みルーティング
    N->>G: レスポンス
    G->>A: レスポンス転送

デフォルトモデルはNemotron 3 Super 120B(コンテキスト131,072トークン、最大出力8,192トークン)。Nemotron Ultra 253BやNemotron Super 49B v1.5、ローカル推論向けのNemotron 3 Nano 30Bも設定できる。

推論ルーティングの重要な副次効果として、エージェントがどのモデルにどのくらいのトークンを送っているかをゲートウェイ側で監視・制御できる。推論コストの可視化と上限設定が可能になる。これは次に述べるエージェント決済の問題と直結する。

サンドボックスの中から課金する矛盾

ここからが本題だ。NemoClawでエージェントを隔離したとして、エージェントが外部のAPIサービスを利用する場合はどうなるのか。

たとえばエージェントがBrowserbaseのブラウザセッションを使いたい、PostalFormで物理郵便を送りたいとなったとき、現状では以下の方法しかない。

  1. 事前に各サービスのAPIキーをエージェント環境に渡す
  2. エージェントがそのAPIキーで直接課金する

これはKarpathyが懸念した「秘密鍵を渡す」問題そのものだ。NemoClawのネットワーク制御でアウトバウンド接続は制限できるが、許可したエンドポイントに対してAPIキーが漏洩するリスクは残る。

特に危険なのはClawHubの悪性スキルがエージェントのコンテキスト内でAPIキーを読み取って外部に送信するシナリオだ。ネットワーク制限のホワイトリストに含まれるホスト宛てであれば、NemoClawのNetwork層では検知できない。AMOS配布チェーンの分析で見たように、悪性スキルは150種類の暗号資産ウォレットや19種類のブラウザからクレデンシャルを収集する機能を持つ。サンドボックス内でAPIキーが露出していれば、それも当然ターゲットになる。

メモリポイズニングも厄介だ。ToxicSkillsキャンペーンで確認されたように、悪性スキルはSOUL.mdやMEMORY.mdにバックドアを書き込める。「特定のサービスへの支払い時にAPIキーをこのURLに送信しろ」という命令がメモリに永続化されれば、スキルをアンインストールした後もエージェントは汚染された状態で決済処理を行い続ける。

flowchart TD
    A["悪性スキルインストール"] --> B["SOUL.md/MEMORY.mdに<br/>バックドア書き込み"]
    B --> C["スキルをアンインストール"]
    C --> D["メモリ汚染は残存"]
    D --> E["エージェントが決済処理"]
    E --> F["汚染されたメモリの命令で<br/>APIキーを外部送信"]
    F --> G["ホワイトリスト内のホスト宛て<br/>→NemoClawでは検知不能"]

    style F fill:#991b1b,color:#fff
    style G fill:#991b1b,color:#fff

つまりサンドボックスだけでは課金のセキュリティは担保できない。必要なのは「エージェントに秘密鍵を渡さずに課金する」仕組みだ。

Stripe Machine Payments Protocol

StripeとステーブルコインブロックチェーンのTempoが共同で策定したMachine Payments Protocol(MPP)は、この問題に対する解のひとつだ。仕様は mpp.dev で公開されており、TypeScript(mppx)・Python(pympp)・Rust(mpp)の公式SDKも提供されている。

HTTP 402チャレンジ-レスポンスモデル

MPPの核心はHTTPの 402 Payment Required ステータスコードを実用的なプロトコルとして機能させることにある。RFC 7235で予約されながら長らく「未定義」のままだった402を、エージェント向け決済のシグナルとして活用する。

sequenceDiagram
    participant A as AIエージェント<br/>(sandbox内)
    participant S as 外部サービス
    participant P as Stripe / Tempo

    A->>S: リソースリクエスト
    S->>A: 402 Payment Required<br/>(支払い要件JSON)
    A->>P: 支払い処理
    P->>S: 支払い確認
    A->>S: 再リクエスト(認証ヘッダー付き)
    S->>A: 200 OK + リソース + レシート

従来の課金フローでは、エージェントがサービスのアカウント作成・料金ページの確認・支払い情報の入力を行う必要があった。人間向けに設計されたこのフローをエージェントが処理するのは非効率で、セキュリティ上も危険だ。MPPはプロトコルレベルでこれを解消する。

MPPが定義するコアプリミティブは3つ。

プリミティブ役割
Challengeサーバーが発行する支払い要求。支払い条件・金額・通貨・期限を含む
Credentialエージェントが提示する支払い証明。支払い方法に応じてフォーマットが異なる
Receipt決済完了時にサーバーが返す領収証。後続リクエストの証明として使用

Shared Payment Token: 秘密鍵を渡さない仕組み

MPPの2つの支払い方法のうち、セキュリティの観点で注目すべきはShared Payment Token(SPT)だ。

curl https://api.stripe.com/v1/test_helpers/shared_payment/granted_tokens \
  -d payment_method=pm_card_visa \
  -d "usage_limits[currency]"=usd \
  -d "usage_limits[max_amount]"=10000 \
  -d "usage_limits[expires_at]"=1776505073

SPTの特徴は、エージェントの支払い権限を細かくスコープできる点だ。

制限パラメータ効果
max_amount1回の支払い上限額
currency使用可能な通貨
expires_atトークンの有効期限
seller_details[network_id]特定マーチャントのみに使用を制限

エージェントにクレジットカード番号やAPIキーを直接渡すのではなく、使用制限付きのワンタイムトークンを渡す。悪性スキルがトークンを窃取しても、金額上限・有効期限・マーチャント制限が設定されていれば被害は限定される。

SPTのライフサイクルはWebhookで追跡できる。

イベントタイミング
shared_payment.granted_token.usedトークンが使用されたとき
shared_payment.granted_token.deactivatedトークンが無効化されたとき

もうひとつの支払い方法であるオンチェーン暗号通貨(Tempoネットワーク経由のUSDC送金)は、NemoClawの推論ルーティングと同様にゲートウェイ経由でプロキシすれば、エージェントがウォレットの秘密鍵を直接保持する必要がなくなる。

早期採用企業

MPPのアーリーアダプターとして以下の企業・サービスが紹介されている。

企業ユースケース
Browserbaseエージェントがブラウザセッション単位で支払い
PostalFormエージェントが物理郵便物の印刷・送付を依頼
Parallel Web SystemsParagraphaが提供するウェブアクセスAPIをコール課金で利用
Stripe Climateエージェントが自律的に炭素除去プロジェクトへ拠出
Prospect Butcher Co.エージェントがNYCのサンドイッチを自律注文

NemoClawのネットワーク制御 + MPPの組み合わせ

NemoClawのバイナリ単位ネットワーク制御とMPPを組み合わせると、2重の防御が成立する。

flowchart TD
    A["オペレーター"] -->|"SPT発行<br/>上限$10、有効期限1時間<br/>特定マーチャントのみ"| B["サンドボックス内<br/>OpenClawエージェント"]
    B -->|"402チャレンジ-レスポンス"| C["外部サービス"]
    B -.->|"NemoClawが<br/>ネットワーク制御"| D["許可済み<br/>エンドポイントのみ"]
    B -.->|"ブロック"| E["未許可の<br/>エンドポイント"]

    style E fill:#991b1b,color:#fff

ネットワーク制御に決済関連エンドポイントを追加すると、こうなる。

エンドポイント制限目的
api.stripe.com:443MPP対応バイナリからのみSPT利用・支払い処理
mpp.dev:443GET のみMPP仕様参照
各マーチャントのAPI個別にホワイトリスト402チャレンジ-レスポンス

ベースラインポリシーに決済エンドポイントを追加し、バイナリ単位で制限することで、エージェント内の悪性コードが勝手にStripe APIを呼び出すことを防げる。ネットワーク制御(どこに通信できるか)とSPTの使用制限(いくらまで・いつまで・どのマーチャントに)という2層で、課金の暴走を抑え込む。

MCPトランスポートバインディング

MPPはHTTP(402ステータスコード)のほか、MCP(Model Context Protocol)にもバインディングが定義されている。OpenClawがMCPサーバーとしてツールを提供するアーキテクチャでは、ツール呼び出しの中で決済フローを完結できる。

これはCLI-AnythingであらゆるソフトウェアをAIエージェント対応にするで議論されたMCP対応の流れとも合致する。エージェントがツールを呼び出し、ツールが402を返し、エージェントがSPTで支払い、ツールが結果を返す。このフローがMCPの中で標準化されれば、エージェントの課金は現在のAPI呼び出しと同じくらい自然な操作になる。

インストールと使い方

curl -fsSL https://www.nvidia.com/nemoclaw.sh | bash

ワンライナーでインストールが完了する。Node.jsが未インストールの場合は自動インストールされる。対話式ウィザード(nemoclaw onboard)がサンドボックス作成・推論設定・セキュリティポリシー適用を一括で案内する。

主要コマンド。

nemoclaw onboard                # 初期セットアップウィザード
nemoclaw <name> connect         # サンドボックスへのシェル接続
nemoclaw <name> status          # ヘルス確認
nemoclaw <name> logs --follow   # ログストリーミング
openshell term                  # リアルタイムTUI監視

ハードウェア要件は最小4 vCPU・8 GB RAM・20 GB Disk。サンドボックスイメージの圧縮済みサイズは約2.4 GB。RAM 8 GB未満の環境では8 GB以上のスワップを推奨している。

macOSはApple SiliconでColimaまたはDocker Desktopを通じてサポートされている。DGX Spark用の専用セットアップコマンド(nemoclaw setup-spark)もあり、Ubuntu 24.04 + k3sのcgroup v2互換性問題を自動修正する。

サンドボックスだけでは足りない

NemoClawは現在Alphaステータスで本番利用は非推奨。公開4日で1万Starを集めた事実は、エージェントのセキュアな実行環境に対する需要の大きさを示している。

ただし、ここまで見てきたようにサンドボックスだけではエージェントセキュリティの全体像はカバーできない。

脅威NemoClawで防げるか追加で必要な対策
ファイルシステム破壊防げる(Filesystem層)
権限昇格防げる(Process層)
未認可のネットワーク接続防げる(Network層)
APIキー漏洩(許可済みホスト宛て)防げないMPPのSPTで秘密鍵をエージェントに渡さない
プロンプトインジェクション防げないInstruction Hierarchy等のモデルレベル防御
悪性スキルのインストール部分的(Verify段階での完全性検証)スキルマーケットプレイスの審査強化
メモリポイズニング防げないSOUL.md/MEMORY.mdの監視、DBベースのメモリストレージ
課金の暴走・不正利用推論コストは制御可能MPPのSPTで金額上限・有効期限・マーチャント制限

NemoClawの4層セキュリティ、MPPによる課金権限のスコープ制御、Instruction Hierarchyのようなモデルレベルの防御ローカル隔離実行。全部組み合わせてようやくスタートラインで、どれかひとつで済む話ではない。