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うるう秒をやめる決議5が第28回CGPMで採択された

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2026年10月13日から15日にベルサイユで開かれた第28回CGPM(国際度量衡総会。メートル条約の加盟国が、メートルや秒などの単位の定義を決める会議)で、うるう秒の挿入をやめる決議が採択された。
8月にうるう秒は2027年5月20日で終わりそうで取り上げた決議案Cが、決議5として採択された。
2027年5月20日から連続UTCが発効し、UT1(地球の自転に基づく時刻)とUTC(協定世界時)の差は最大3600秒まで許される。

UTCは原子時計の秒で進みながら、UT1とのずれが0.9秒を超えないよう、ときどき23時59分60秒の1秒を差し込んできた。
連続UTCは、この差し込みをやめて、原子時計の秒をそのまま数え続けるUTCのことだ。
仕組みや、うるう秒が起こしてきた障害は8月の記事に書いた。

日本ではNICT(情報通信研究機構)が10月23日に告知を出した。
この決定で、少なくとも今後数世紀は、UTCでうるう秒のような不連続な調整が行われなくなるとしている。

採択された文面と決議案C

採決は総会最終日の10月15日に行われた。
CCTF(時間周波数諮問委員会)のノエル・ディマルク議長は同日の声明で、時間計測に関わる3本の決議がその日に採択されたと報告している。
米科学誌のScientific Americanは、決議が多数決で可決されたと伝えた。

総会前の決議案はアルファベットで呼ばれていて、時間に関わる3本は採択後に次の番号になった。

決議案採択後表題
B決議4秒の将来の定義について
C決議5UTCの連続性を確保するための技術的措置について
D決議6月の国際基準時刻系の定義とUTCへのトレーサビリティについて

決議5の英語版を決議案のPDFにある決議案Cと突き合わせると、違いはハイフンの有無程度で、内容の変更は見当たらなかった。
1月30日の改訂で入った発効日も、そのまま残っている。
なお、決議を公開しているBIPM(国際度量衡局、UTCを算出している機関)は、公式版をフランス語の文面としている。

決議5のうち「決定する」の項に並ぶのは次の2点で、残りは過去の決議の確認や関係機関への依頼になっている。

項目決議5の文面
発効日連続UTCは2027年5月20日に発効する
上限UT1とUTCの差の絶対値の最大値を3600秒(1時間)とし、数世紀にわたってUTCの長期的な連続性を確保する

2027年5月20日は、ユネスコが定めた世界計量記念日にあたる。
これまでに挿入したうるう秒は27回で、すべて1秒を足す方向だった。
上限を1時間まで広げると、差が1時間になるまでは調整しなくて済む。

UTCが連続する期間の「数世紀」と「数千年」

上限3600秒でUTCがどれだけ連続するかは、資料によって書き方が違う。

資料書き方
決議5本文数世紀(several centuries)
NICTの告知少なくとも今後数世紀
CCTF議長の声明数千年(several millennia)は連続性が保たれる見込み
Scientific American1時間の調整が必要になるのは1000年以上先

決議の文面は「数世紀」で、NICTの告知も同じ書き方をしている。
「数千年」は議長が採択の報告として出した声明の中の表現で、決議の文面には出てこない。

Scientific Americanの記事は、うるう秒の代わりに「うるう時(leap hour)」を入れると紹介している。
ただ、決議5が決めているのは差の上限だけで、3600秒に近づいたときにどう調整するかは書かれていない。

2027年5月20日までにITU-RやIERS、BIPMが進める作業

決議5はBIPMに対し、ITU(国際電気通信連合)、IAU(国際天文学連合)、IERS(国際地球回転・基準系事業)などと協力して、利用者に知らせるよう求めている。
UT1−UTCの値と予測を引き続き監視して、CIPM(国際度量衡委員会)へ定期的に報告することも依頼事項に入っている。

現行のうるう秒の運用ルールは、ITU-R(ITUの無線通信部門)の勧告TF.460-6が定めている。
NICTの告知によると、今回の決定を受けて、ITU-Rで勧告の改定が進む見込みだ。

無線で時刻を送っている設備には猶予がある。
決議5が言及しているITUの世界無線通信会議の決議655(WRC-23改訂)が、移行期間を設けている。
既存の設備を早く置き換えられない場合、広がったUT1とUTCの差を無線で配信できるのは2035年まで、遅くとも2040年までだ。
決議5によると、ITU-Rの作業部会7Aは、無線局がUT1−UTCを送る符号の更新を検討している。

うるう秒自体は、8月の記事で確認したとおり、IERSのBulletin C 72が2026年7月に、12月末の挿入なしを告知している。
Bulletin Cは半年ごとに出て、次の6月末か12月末の挿入を予告する。
次の予告対象の2027年6月末は発効日の5月20日より後なので、2016年12月31日の27回目が最後のうるう秒になりそうだ。
TAI(国際原子時)は原子時計の秒をうるう秒なしで数え続けている時刻で、UTCとの差はうるう秒のたびに1秒ずつ広がってきた。
この差も37秒のまま変わらなくなる。

tzdata(IANAのタイムゾーンデータベース)に入っているうるう秒の一覧leap-seconds.listは、10月23日に取得すると、更新日が2026年7月6日、有効期限が2027年6月28日で、8月に確認したときから変わっていなかった。

月の基準時刻は決議6になった

同じ総会では、月の基準時刻を決める決議案Dも決議6として採択された。
こちらも決議案Dの文面と照らすと、内容の変更は見当たらなかった。

決議6は、基準時刻系が乱立すると時刻付きデータをやり取りするときに曖昧さが生じるとして、避けるべきだとしている。
また、定数倍しないTCL(月座標時)でも科学的な要求は満たせると注記し、定数倍した版を使う場合は国際機関が定めた慣用値で周波数差を決めるよう勧告した。
TCLとその定数倍版のどちらを採るかは、決議6でも決めていない。

アメリカでは、2024年4月のOSTP(ホワイトハウス科学技術政策局)のメモにより、NASAが関係省庁と協力して、月の時刻標準化を実施するための最終的な戦略を2026年12月31日までに大統領府へ提出することになっている。